2024年9月に最も読まれた記事 発酵の力で年間1億円削減した自治体とは

ニュースレター「パル通信」206号では、2024年9月に最も読まれた記事を含め、9月に配信した記事のエッセンスをご紹介します。
井出留美 2024.09.28
誰でも

こんにちは。9月も最終日となりました。今月は23日から米国に来ており、食品ロスの会議に参加し、ニューヨーク・ポートランドで取材を続けています。日本との時差は16時間。このあとサンフランシスコへ移動します。今回のニュースレターはポートランドからお送りしています。

ニュースレター「パル通信」は1,940名以上にご購読いただいています。サポートメンバーの方々には毎月定額のサポートをいただき、ありがとうございます。おかげさまで、食品ロス削減の啓発活動や国内外での食品ロス取材、海外メディア記事の購入を続けることができており、感謝申し上げます。

今回お送りする206号では、2024年9月に最も読まれた記事を含め、9月中に配信した記事をご紹介します。

なお、記事へのご質問やご意見などをいただける場合は「コメント機能」をお使いください。読み手全員にコメントを共有することもできますし、書き手にのみ公開することもできます。

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発酵の力で年間1億円以上のコスト削減を達成した自治体とは

この記事は、開封数およびPV(ページビュー)が高く、多くの方に関心を持ってお読みいただきました。ロシアによるウクライナ軍事侵攻以降、食料品や飼料、肥料の価格が高騰する中、発酵の力をおおいに活用し、本来であれば年間1億円以上、余分にコストがかかるところを削減した自治体の記事です。

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なぜ180度主張変える?「穀物必ず買える」の後「コメ不足、備蓄米出すべき」

コメ不足は、関係者の間では2024年の初めごろから問題提起されていました。市場でコメが買えない事態が最も顕著となったのは、南海トラフ地震のリスクが報じられてからです。消費者による買い占めや買いだめも起こりました。食料安全保障の観点からも、コメを必要な量だけ供給できる体制は重要ですが、いくつかの要素が重なったのち、店の商品棚からコメが消える事態となりました。

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小売が食品ロス0.5%減らせば利益17%増 日英米の期限表示に関する最新情報

このタイトルを見て、「たった0.5%減らしただけで、利益が17%も増えるわけはない」と思いませんか?この記事を配信したあと、食品小売につとめるサポートメンバーの方から、自社の事例についてコメントを書き込んでいただきました。0.4%の削減で年間8億円の利益改善につながったとのことです。

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最新研究 ミシュラン2つ星レストランで菌を使い食品ロスがおいしい料理に変身

菌の力を使うことにより、食品ロスとして捨てられる運命にあったものが、おいしい料理に変身した事例を紹介しました。この取り組みにはミシュラン2つ星レストランが協力しています。冒頭で紹介した記事は「発酵」の力の偉大さが感じられましたが、この記事でも、発酵の力によって、食品ロスが活用されることがあらためてわかりました。発酵に関心の高い読者の方からも、記事をぜひ海外の方にシェアしたいという声をいただきました。

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スイス・英国・米国・オランダのホテルやレストランで食品ロス削減に取り組む企業

日本の食品業界のうち、もっとも食品リサイクル率の低いのが外食産業です。この記事では、スイス、英国、米国、オランダのホテルやレストランの厨房で、食品ロスを削減するために貢献している企業の事例を紹介しました。今回の出張ではニューヨーク国連本部そばで開催された食品ロスの会議に出席し、この記事で紹介した米国企業の方に再会することができました。

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今日の書籍

公式サイトには『「美しい経済の風景」をテーマにしたビジネスドキュメンタリーマガジン』とあります。240ページにわたり、数々の事例を紹介した書籍です。

やなぎさわまどか さんが、このご本で紹介されている寺田本家の寺田優さんと、総合地球環境学研究所所長の山極壽一(やまぎわ・じゅいち)先生のストーリーを担当されたということでご紹介いただきました。今回の米国出張に連れてきています。寺田さん、山極先生をはじめ、15のストーリーが詰まっています。書籍の装丁も緑があふれていて素敵です。

印象に残った言葉は、1908年創業、有職菓子御調達所 老松の四代目当主、太田達さんの言葉です。

経済とは「経世済民」。世の中をまつり、民をすくうことです。ここに立ち返らないといけないと思っていますね。果物に限らず、この国の自給率は低すぎて、輸入を止められたら終わってしまうような状態。まさに経世学の考え方ですよ。

この本はシリーズとして2番目の「02」ですが、「01」も読んでみたくなるストーリーが満載です。まずは公式サイトをお目通しくださいね。

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今日の映画

監督:タル・バルダ

登場人物:イゼルディン・アブラエーシュ、クリスティアン・アマンプール、シュロミ・エルダー 他

私が出演した映画『もったいないキッチン』のプロデュースをつとめた、ユナイテッド・ピープル配球の映画です。3人の娘を殺されてもなお、憎しみの連鎖を断つために行動し続ける、ガザ地区出身の医師、アブラエーシュ博士のドキュメンタリー。メディア向けの試写会で視聴しました。最も印象に残ったシーンは、アブラエーシュ博士の自宅がイスラエル軍の砲撃を受け、3人の娘と姪御さんが殺されてしまう場面です。その直後、イスラエルのテレビ局で博士の叫び声が生放送され、イスラエル国内に衝撃を与えました。たとえどんな理由があっても戦争は許されない。そのメッセージが強く伝わってきます。

2024年10月4日(金) アップリンク吉祥寺 他にて全国順次ロードショー。ぜひご覧ください。

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編集後記

ニューヨークからポートランドへ移動し、今日はこのあとポートランドからサンフランシスコへ移動します。ついに、バークレーの「予約がとれない」レストラン、シェ・パニースにも行く予定です。日本人シェフとして唯一、シェ・パニースで働く宇井裕美さんにもお会いします。

今回の米国出張で得た情報や知見などは10月以降のニュースレター「パル通信」おもにサポートメンバー限定記事でご紹介します。今回のような海外取材や渡航費は自らの資金でまかなっています。この機会にサポートメンバーへの登録をご検討いただけますと、取材や渡航の費用に充当できますので、大変ありがたく、うれしいです。サポートメンバーは、登録ボタンからいつでも登録可能で、いつでも登録解除可能です。メンバー限定の交流会も開催されています。

帰国してからは、10月の食品ロス削減月間および世界食料デー月間で、講演が多く続きます。10月15日にはソニーグループ社員の方々に向けての講演で、一般の方向けには以下が予定されています。関心のある方は、リンクから詳細をご覧いただき、申し込みが必要なものについてはお申し込みくださいね。

10月19日 東京都江戸川区 食品ロス削減シンポジウムで基調講演

10月26日 東京都千代田区主催 食品ロス削減シンポジウムで講演(10月初旬の千代田区広報で告知)

2024年9月28日

ポートランドにて

井出留美

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