Nature最新論文:スーパーの複数個割引キャンペーンは家庭の食品ロスを増加させる どう減らすか
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ニュースレター「パル通信」251号では、学術誌『Nature』に掲載された論文で、8つのスーパーでの実験により、スーパーマーケットの複数個割引キャンペーンは、食品の過剰購入と家庭での食品ロスの増加につながるという調査結果について解説します。
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なお2025年6月14日(土)午前11時から11時50分、京都・岡崎公園で開催されるアースデイin京都のトークショーで登壇します。MCは遠藤のぶこさん、京都岡崎 蔦屋書店が5種類の著書を販売、サイン会を開催してくださいます。この日にご都合のよろしい方、ぜひ会場にお越しください。予約不要です。
スーパーマーケットのプロモーションは家庭の食品ロスと同時に売り上げを増加させる
これはスウェーデンの大手スーパー8カ所で、43,246個の生鮮野菜を購入したデータを用いての大規模なフィールド調査です。一見、あたりまえの結果のように見えますが、インパクトの高い学術誌である『Nature』にも評価され、論文が掲載されました。2025年5月23日に公開されたばかりの論文です(1)。
スーパーマーケットでは、店内割引などのキャンペーンが、消費者の食品の買い過ぎを招き、家庭での食品ロスを増やすという調査結果です。
特に「1個3ドル、2個買えば5ドル」とか、「2個買えば1個無料」のような、複数買いをうながす形での割引キャンペーンは、単品での割引に比べて、より多くの食品を買うことになり、家庭での食品ロスが増えることがわかりました。単品での割引より、複数での割引の方が、19.5%、売り上げが多くなります。
その後、追跡調査をしてみると、このようにして多く買った食品は、消費される可能性が低くなり、家庭の食品廃棄の増加につながります。
家庭で廃棄される食品の半分は野菜
食品ロスは、「ほとんどが企業」と誤解している人がいますが、日本政府の推計値を見ると、家庭から半分が出されています(2)。そして、後述しますが、スウェーデンでの食品ロスも、多くが家庭から出されています。
日本の家庭で最も多く捨てられるのが「野菜」です。
古いデータですが、農林水産省の調査でも筆頭は野菜でしたし、ハウス食品グループ本社が複数回おこなった調査でも、1位に野菜が来ていました(3)。
そして、日本だけでなく、スウェーデンの家庭でも、よく捨てられるのが野菜です。
今回の調査では、6店舗でキュウリを対象として調査し、残りの2店舗ではキュウリとブロッコリーの両方で調査をおこないました。
なぜ、野菜の中で、キュウリとブロッコリーが選ばれたのでしょうか?
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