2024年6月に最も読まれた記事 最新の食品ロス値、増えた?減った?
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さて、2024年6月に配信した記事のうち最も読まれた記事を含め、すべての配信記事のエッセンスをお伝えします。
【速報】政府、最新の食品ロス推計値(2022年度)公表、食品ロスによる経済損失は4兆円
2024年6月に配信した記事のうち、最も開封率の高かったのは、日本政府が発表した、最新の食品ロスの推計値でした。開封率は73.6%でした(開封したからといって読んでいただけているとは限らないのですが、今のところ、数値化できる要素としては開封率のみなのでこちらを使っています)。
事業系の食品ロスに関しては削減目標を達成したことが報じられました。とはいえ、最新の推計値はコロナ禍(2022年度)で、時短営業や飲食店の休業などの影響も考えられるため、今後の動向が注視されます。そもそも数値目標の基準年が2000年と、食品ロスが今の2倍近く多かった24年前を基準にしているので、「そりゃあ達成できるよね」という見方もあります。欧州では、SDGsが採択された2015年を基準にし、野心的な目標を立てている国もあります。
日本政府が初めて食品ロスによる経済損失と環境負荷の推計値を発表したことも話題となりました。私は2021年12月1日の記事で、食品ロスの量だけでなく、経済損失や環境負荷も発表すべきではないかと、政府への提言記事を書きました。その後も、食品ロス量が発表されるたびに同様のことを書いてきて、各省庁が出席するヒアリングの時にもお願いしていたので、ようやく実現して、すこし前に進んだかなと思っています。
バイデン政権が発表した食品ロス削減国家戦略とは 日米の食品ロス量比較
同じく開封率73.6%で最も読まれた記事が、米国のバイデン政権が発表した食品ロス削減国家戦略についてでした。米国は、2023年11月にドバイで開催されたCOP28でも戦略の草案を発表していたように、ここのところ精力的に食品ロス削減に向けた動きを見せています。米国よりも食品ロス発生量の少ない日本でも、参考にできる内容が多くあると考えます。
過去にトランプ政権になった際には、困窮者食料支援の予算が削減されたり、環境対策が軽視されたり、といったことがありました。秋に控えている大統領選挙でどうなるのか、目が離せません。
台湾で売られている⾷品の期限表示について(現地レポート)
最も読まれた記事とほぼ変わらない関心の高さで読んでいただいたのが、台湾で販売されている食品の期限表示に関する松井順子さんの寄稿記事です(開封率72.6%)。松井さんは、三重県在住の管理栄養士で、過去にも「パル通信」の記事を参考に、実際の取り扱い商品の賞味期限表示に「おいしいめやす」であることを併記する取り組みをしてくださいました。
海外に行くと気になるのが、スーパーなどで販売している食料品の賞味期限や消費期限の表示です。日本と同じ部分もあれば、異なる部分もあり、非常に興味深いです。松井さんの記事では、実際の写真もふんだんにまじえて解説してくださったので、密度の濃い、保存版の記事となりました。本日6月30日朝に開催した第10回オンライン交流会では、だんなさまの松井未来生(みきお)さんが、気候変動とお米に関する講演をしてくださいました。松井さん、ありがとうございました!
なぜ5週間で28%も食品ロスを減らせたのか 全米で最も革新的な大学が問う「安い食べ物が高価な理由」
「パル通信」183号では、米国で「最も革新的な大学」と評価された大学の記事を翻訳して解説しました。最も本質的なのは、大学教授が問いかける「安い食べ物は、時として非常に高価」であるということです。見かけ上、値段が安く見えたとしても、なぜ高くついてしまうのか。その裏には何があるのでしょう?
国連FAOは、消費者が食品を買うとき、レジで支払う代金の裏側には、12兆7,000億ドルもの隠れたコストがある、と発表しています。日本円にして1,976兆円以上。これは、世界の国内総生産(GDP:Gloss Domestic Products)のおよそ10%に相当し、全世界で、1人1日あたり5ドル(778円、2024年6月5日レートによる)を負担していることになります。
ただ「安ければいい」ではなく、生産者のためにも環境のためにも、食料品に対して適正な価格を負担することを考えなければなりません。
ビュッフェの提供者が食品ロスを減らす10の方法とは
ビュッフェの食品ロス削減については151号で河合真由子さんにご寄稿いただいていました(河合さん、ありがとうございました!)。今月配信した185号では、さまざまなホテルやレストランで取り組まれている食品ロス削減方法10をご紹介しました。先日、Yahoo!ニュース編集部の方と打ち合わせしたとき、いくつか紹介したところ、「具体的でわかりやすい」とおっしゃっていただきました。
「ナッジ」という行動変容の手法、禁止や指示をせずに人の行動を望ましい方向へ変える方法も日本や欧州、米国などで取り入れられています。
「今日の書籍」と「今日の映画」は7月に発信する号でご紹介しますので、本日はお休みします。7月に配信する次回188号をどうぞお楽しみに。
編集後記
2024年6月30日(日)日本時間9:30-10:30の今朝、第10回オンライン交流会として、台湾駐在、三重県庁にお勤めの松井未来生(みきお)さんに「近年の気候変動がお米にどう影響しているのか」についてご講演いただきました。お米が大好きな松井さんの熱のこもったお話、山形の「つや姫」が高温耐性品種だとは初めて知りました。質疑応答も活発で、楽しかったですね。26名にご参加いただきました。お話いただいた松井さん、そしてみなさま、ありがとうございました!
そして今月末、拙著『捨てないパン屋の挑戦 しあわせのレシピ』(あかね書房)の韓国語版が出版されました。日本語版は小学校高学年向けの課題図書に選定されました。こどもだけでなく、大人にとっても、働き方や食品ロス削減、環境問題についてわかりやすくお読みいただける一冊です。
それでは7月にまたお会いしましょう!
2024年6月30日
井出留美
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