2007年以降、一人当たりの食品廃棄が21%減少している国はどこか パル通信(100)

おかげさまでニュースレター「パル通信」も100号を迎えることになりました。今回は、世界的に「食品ロス削減」をリードしている国の動きについて紹介します。
井出留美 2023.03.16
読者限定

2015年9月に国連サミットでSDGsが採択され、ゴール12番のターゲット3(12.3)では、2030年までに、世界の小売・消費レベルの食料廃棄を半減する、という数値目標が定まりました。2007年以降、一人あたりの食品廃棄が21%も減少しており、2015年のSDGs採択よりずっと以前から「食品ロス削減」に取り組んでいる国とはどこでしょう。

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また、前回、募集しました「パル通信への寄稿」について、前回はたくさんのご応募をありがとうございました。これまで、高橋真樹さん黒部エリさん服部雄一郎さん平井ナタリア恵美さんにご寄稿いただき、ありがとうございました。ご応募が多く、すべての方の寄稿をお受けできず、誠に申し訳ございませんでした。そこで、第二弾となる「パル通信への寄稿」を募集します。前回、応募してくださった方も、2度目の応募も歓迎ですので、ぜひご応募ください。応募者多数の場合は、theLetter編集部が、「パル通信」と相性のよさそうなテーマ(食・サステイナビリティなど)を選出することになりますので、そこから大きく離れたテーマはお受けできない旨、ご了承いただければと存じます。応募フォームにつきましては「編集後記」をご覧ください。

この記事を書いた理由

*先日、恵方巻の売れ残り調査結果について、全国紙の取材を受け、「国も企業も食品ロス削減の取り組みはまだまだですね」と記者の方に指摘を受け、日本の対策を牽引するにあたって、先進国の取り組みを紹介し、参考としてもらうため

*日本政府に、単純に食品ロス量だけ発表するのではなく、食品ロスが、経済的にどれだけの損失なのか、どれほどの環境負荷をかけるものなのかを、具体的に数字で示してほしいため

この記事でわかること

2007年以降、一人あたりの食品廃棄が21%減少している国の最新の取り組みについて。

答えは「英国」

2007年以降、一人あたりの食品廃棄が21%も減少しているのは「英国」です。2000年に英国政府がWRAP(ラップ)を立ち上げ、データに基づいて、一般市民への啓発も続けてきました。この「WRAP」の研究や活動、専門知識が、英国の食品ロス削減対策におおいに役に立っています。英WRAPは、食品ロス量だけでなく、それがどれほどの経済損失で環境負荷をかけるのかについても、データに基づいて、一般市民にわかりやすく啓発しています。

たとえば、最近では、2022年、2,000人以上の市民を対象とした調査を実施しました。その結果、回答した人の90%以上が「食品ロスについて関心がある」と答え、80%以上が「食品ロスの削減は重要な問題」だと考えており、半数以上の回答者が、「外食時に食品ロスを減らすように心がけている」と答えました。

一方で、40%以上が「外食の料理の量は自分でコントロールできない」と答えています。また、食品ロスが温室効果ガスの排出に影響することを認識している人は、わずか20%程度であることもわかりました。

そこでWRAPは、この調査結果を受けて、外食産業に対し、食品ロス削減の対策をとるよう、呼びかけています。たとえば、外食で提供する量を少なくしたものの提供や、食品ロスがいかに環境に負荷を与えるかについて、顧客へ情報提供をすること、外食産業が食品ロスの削減目標を設定すること、などです。

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