日本の食とエネルギーの危機を同時に解決する「ソーラーシェアリング」とは?パル通信(86)

今回は、ノンフィクションライター、高橋真樹(まさき)さんの寄稿です。
井出留美 2023.01.15
誰でも

日本の食料自給率とエネルギー自給率は低く、食料やエネルギーを海外に依存しており、リスクを抱えた状況です。それらを同時に解決する「ソーラーシェアリング」とはどのようなものなのでしょうか。今回のパル通信では、ノンフィクションライターの高橋真樹(まさき)さんの、ソーラーシェアリングについての寄稿をご紹介します。

  • ソーラーシェアリングはなぜ重要か

  • パネルの下で作物は育つのか?などの懸念点と実際

  • 今後のモデルとして注目度が高い「自家消費モデル」

  • ソーラーシェアリングの今後の課題

◆高橋真樹さんプロフィール  ノンフィクションライター、放送大学非常勤講師。持続可能性をテーマに国内外で取材を続ける。「がまんしない省エネ」を提唱する、日本で唯一の「断熱ジャーナリスト」でもある。著書に『ご当地電力はじめました!』(岩波ジュニア新書)、『日本のSDGs -それってほんとにサステナブル?』(大月書店)、『こども気候変動アクション30』(かもがわ出版)ほか多数。エコハウスに暮らし、ブログ「高橋さんちのKOEDO低燃費生活」でも発信している。公式サイト

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はじめまして。エネルギー、まちづくり、サステイナビリティなどの分野で取材を続けているノンフィクションライターの高橋真樹(まさき)です。パル通信では、派手さはなくても重要でかつ地に足のついた、サステイナブルな取り組みをお届けしていきます。

ソーラーシェアリングの畑(©千葉エコ・エネルギー)
ソーラーシェアリングの畑(©千葉エコ・エネルギー)

日本の食料自給率とエネルギー自給率は低く、サステイナブルでないことは以前から指摘されてきたものの、抜本的な改善はされてきませんでした。そしていま国際情勢の変化により、食とエネルギーの分野で私たちの暮らしが危機にさらされています。今回紹介する「ソーラーシェアリング」は、その危機に立ち向かう有効なカギになるものです。

「ソーラーシェアリング」という言葉を、初めて耳にする方も多いかと思います。これは、農地の上に支柱を立て、すき間を空けて太陽光発電を設置することで、太陽の光(ソーラー)を農業と発電の両方に活用(=シェア)する事業です。農地をつぶすことなく、営農しながら発電を行うため、「営農型太陽光発電」とも呼ばれています。といっても、単に「農家が売電して収入を増やす事業」ではありません。

ソーラーシェアリングが農林水産省で正式に制度化されるようになってから、まもなく10年が経ちます。その当時から、ぼくは全国の取り組みを取材してきました。日本の食とエネルギーの問題を転換する可能性のあるソーラーシェアリングとは、どのようなものでしょうか。

パネルの下ではトラクターなどの作業も(©千葉エコ・エネルギー)
パネルの下ではトラクターなどの作業も(©千葉エコ・エネルギー)

今回はソーラーシェアリングの可能性について、

  • ソーラーシェアリングはなぜ重要か

  • パネルの下で作物は育つのか?などの懸念点と実際

  • 今後のモデルとして注目度が高い「自家消費モデル」

  • ソーラーシェアリングの今後の課題

といった運びでソーラーシェアリングについてご説明できればと思います。

ソーラーシェアリングはなぜ重要?

一般的に、ビジネスとしての太陽光発電事業を行う目的は、売電収入を得ることです。ソーラーシェアリングはそれとは異なり、農業を持続可能にすることを目的としています。

一般的ないわゆる「野立て」と呼ばれる太陽光発電事業では、土地の上にベタっと太陽光を貼り付けるため、太陽光パネルの下の地面を活用することができません。場合によっては、使われなくなった農地をつぶしてメガソーラー(出力1000kW以上の太陽光発電所)などを建ててしまうケースもあります。

一方でソーラーシェアリングは、農業生産に必要な空間を確保しながら太陽光パネルを設置するので、売電収入を得ながら、作物の栽培が続けられます。農業生産と太陽光発電という二つの方法で、土地を有効活用することができるのです。ただし、太陽光パネルをびっしりと並べてしまえば、地面に太陽の光が届きません。そこで、適度にすき間を空けたり、細長いパネルを使用したりして、栽培に支障が出ないようにしています。

太陽の移動と共に光が移動する(©千葉エコ・エネルギー)
太陽の移動と共に光が移動する(©千葉エコ・エネルギー)

日本の農業の現状は、持続可能ではありません。農業は収入が少ないことに加えて、人口減少と高齢化により、全国で耕作放棄地や荒廃農地が増え続けています。また、現代農業は大量の化石燃料が消費される環境負荷の高い産業です。農業機械の燃料やハウス栽培の暖房など、あらゆるものが化石燃料で動いています。CO2排出量では、日本の農林業は国内の4%を排出しています。

ソーラーシェアリングは、こうした問題への対応策として有効です。まず、農家に農作物以外の収入の柱ができることで、安定的な経営ができるようになります。それによって農地が保全されれば、食料自給率の低下を抑えることができます。

また将来的には、農地で作った太陽光発電の電気で農業ができるようになれば、化石燃料に依存しない持続可能な農業が実現します。そのためには、大型の農業機械なども電化される必要があるので、すぐというわけにはいきません。それでも技術的には、近い将来にそのようなことができるはずです。

さらに国家レベルでソーラーシェアリングを広げていくことができれば、食料自給率とエネルギー自給率の向上という、日本社会の2つの大きな課題を同時に改善できるかもしれません。

現在でも、農地で作った電力で小型農業機械や、移動用のEVは動かせる(©高橋真樹)
現在でも、農地で作った電力で小型農業機械や、移動用のEVは動かせる(©高橋真樹)

パネルの下で作物は育つ?

そんなことが実現できるのでしょうか?ソーラーシェアリングを実践している経営者に話を伺いました。千葉県にある「千葉エコ・エネルギー株式会社」で代表を務める馬上丈司(まがみ・たけし)さんは、ソーラーシェアリングのパイオニアのひとりです。現在、馬上さんが所有するソーラーシェアリング設備は14カ所(共同出資を含む)。また、全国で約400もの事業にコンサルティングを行なってきました。

馬上さんはかつて、食料問題とエネルギー問題を専門とする大学の研究者でした。しかし2011年の東日本大震災をきっかけに、「これからは研究だけでなく、実践を通して新しい現実をつくりたい」と考え、翌年に千葉エコ・エネルギー株式会社を設立します。28歳の時でした。その馬上さんが、もっとも力を入れてきたのがソーラーシェアリングです。

「日本の食料自給率は38%(※1)。エネルギー自給率はさらに低くて12.1%(※2)しかありません。食料自給率が40%近くあると思っていても、海外からのエネルギー供給が途絶えれば、トラクターは動かずトラックも走らないので生産も流通もできません。エネルギーがなければ食料自給率も限りなくゼロに近づきます。その不安定な状況をどうにかしたいと考えていたときに、農業を続けながらエネルギーを生むソーラーシェアリングのことを知り、本気で取り組みたいと思いました」(馬上さん)。 

馬上丈司さんと大木戸アグリ・エナジー1号機(©高橋真樹)
馬上丈司さんと大木戸アグリ・エナジー1号機(©高橋真樹)

馬上さんが経営する農場を、2022年の夏に訪ねました。案内してもらったのは、2018年から栽培と発電を始めている「大木戸アグリ・エナジー1号機」(千葉市緑区)です。およそ1ヘクタールの広さの農地に、2826枚の細長いパネルが並びます。発電出力は777kW(キロワット)と、一般家庭およそ200世帯分の電力を生み出しています。

ソーラーシェアリングについてまず誰もが思うのは、「畑の上にパネルを並べて、作物が栽培できるのか?」という疑問です。しかしこの畑では、ナスやカボチャ、サトイモにショウガなどの野菜が青々と繁っていました。

パネルの下でもしっかりと育ったナス(©高橋真樹)
パネルの下でもしっかりと育ったナス(©高橋真樹)

「作物によっても多少の向き、不向きはありますが、パネルの設置の仕方を工夫すれば均一に光が差すため、ほとんどの作物を問題なく栽培できます。5年ほど営農してきましたが、作物の栽培にはさまざまな要素が影響するので、パネルがあるかないかという違いは、作物の成長にそれほど大きな影響がないと感じています」(馬上さん)

最近ではむしろ、夏の日差しが強すぎて、パネルの下の作物の方がよく育つこともあるそうです。実際、パネルの下で育った里芋の葉は、パネルのないところにある里芋の葉よりも元気に伸びていました。

里芋はパネルの下の方が元気に育っていた(©千葉エコ・エネルギー)
里芋はパネルの下の方が元気に育っていた(©千葉エコ・エネルギー)

「支柱があると農作業の邪魔では?」という疑問に対しても、「多少の慣れは必要ですが、トラクターも入れる高さに設定されているので、慣れれば問題ありません」とのこと。むしろパネルがあることで、メリットも生まれているそうです。「最近の夏は猛烈な暑さが続くので、日中はとても作業ができません。でもパネルの下は日陰になるので、作業が大幅に楽になるんです」(馬上さん)。

また、「台風で壊れないか心配」という声もあります。実際、これまでに台風で倒れた設備は複数あります。しかし、設備設置の際に地盤の調査や構造計算をしっかりすることで、瞬間風速50メートルでも耐えることができることが実証されています。2019年には台風19号が千葉県を襲い、このソーラーシェアリングのある地域も大きな被害に見舞われましたが、馬上さんの設備には被害がありませんでした。

パネルがある方が夏の農作業は格段に楽になるという面も(©千葉エコ・エネルギー)
パネルがある方が夏の農作業は格段に楽になるという面も(©千葉エコ・エネルギー)

農地に見慣れないソーラーシェアリング設備ができた当初、周囲の人たちの反応は「何だこれ?」と不思議がっていたそうです。しかし、千葉エコ・エネルギーの若者たちが継続的に農業を行う姿を見て、「自分の土地も使ってほしい」という依頼が相次ぐようになりました。いまでは、借りている畑の面積は、この集落だけでも3ヘクタールに広がっています。ソーラーシェアリングが、農業の担い手不足の解消に役立っています。

千葉エコ・エネルギーの太陽光発電による電気は、一部は電動の農業機械などに活用されていますが、現在は基本的にはFIT(政府の定めた再生可能エネルギー電気の固定価格買取制度)のもとで売電しています。しかし将来的には、電気を自家消費して化石燃料を使わない持続可能な農業をめざしています。

※1 2021年 農林水産省(カロリーベースの自給率)

※2 2019年 資源エネルギー庁

▶︎馬上さんへのさらに詳しいインタビューはこちら

greenz.jp(2022年9月)

食べ物とエネルギーを同時に自給する!「ソーラーシェアリング」実践者「千葉エコ・エネルギー」馬上丈司さんが伝える、日本の危機を乗り越えるカギ

▶︎ソーラーシェアリング開発者、長島彬さんへのインタビューはこちら

earth garden(2015年12月)

「ソーラーシェアリング」畑の上の太陽光発電の生みの親 長島彬に聞く『エネルギーと農業で日本の未来を変える』

電気を直接使う「自家消費モデル」

馬上さんがコンサルティングをした中で、今後のモデルになるかもしれないと位置付けるユニークな発電所があります。それが「合同会社小田原かなごてファーム」(神奈川県小田原市)が運営する、出力78kWの設備です。2021年に稼働を始めたこのソーラーシェアリングでは、農地で発電した電気をFITで売電せず、かなごてファームが運営する「農家カフェ・シエスタ」と公共施設1ヶ所に届けています。太陽光発電の電気を、自分たちの設備で消費するいわゆる「自家消費」モデルです。

小田原かなごてファームの「自家消費型」のソーラーシェアリング設備(©小田原かなごてファーム)
小田原かなごてファームの「自家消費型」のソーラーシェアリング設備(©小田原かなごてファーム)

一般的な自家消費では、屋根に直接設置したり、近くの設備から電線を引いたりするなどして、電気を届けます。しかし、このソーラーシェアリングの設備と農家カフェは5キロも距離が離れていて、その方法ではつなげられません。

そこで、まずソーラーシェアリングで生まれた電気を、新電力会社の「グリーンピープルズパワー」に買い取ってもらい、同社から改めて農家カフェと公共施設が電気を購入する仕組みにしています。これは、電力小売会社を通じた自家消費で、専門用語では「オフサイトPPA」と呼ばれています。ソーラーシェアリングによるオフサイトPPAは、全国でも初めての例となりました。

「小田原かなごてファーム」社長の小山田大和さんは、「日本で初めてのことなので、仕組みをつくるのに本当に苦労しました。でも、いつまでもFITに頼っていたら地域主導の再エネの未来はありません。前例をつくれたのは良かったです!」と語ります。

小田原かなごてファームのソーラーシェアリング設備(©小田原かなごてファーム)
小田原かなごてファームのソーラーシェアリング設備(©小田原かなごてファーム)
小山田さんが経営する農家カフェ・シエスタ(©小田原かなごてファーム)
小山田さんが経営する農家カフェ・シエスタ(©小田原かなごてファーム)

農家カフェでは、ソーラーシェアリングの農場で栽培された大根や大豆、サツマイモなどの作物を提供。また食品残さはコンポストで肥料にして、再び畑に戻されます。食もエネルギーも循環する、サーキュラーエコノミーの実現です。さらに小山田さんは、この場所に集う人々の交流に新しい可能性を感じています。

「耕作放棄地はたくさんありますが、一般の方が農地を借りるのは簡単ではありません。そこで、うちのソーラーシェアリングの畑では、農に興味のある人たちに手伝ってもらうことにしているんです。そうしたら、畑に集う人同士の交流が盛り上がって、僕の知らない間に商品の6次産業化を計画するといった化学変化が起きたんです。こういうことって、メガソーラーからは絶対に生まれないですよね?こんな新しいコミュニティができるのも、ソーラーシェアリングの良いところだと思います」。

かなごてファームが運営する別のソーラーシェアリングで稲刈りに集まった人々(©小田原かなごてファーム)
かなごてファームが運営する別のソーラーシェアリングで稲刈りに集まった人々(©小田原かなごてファーム)
土地を所有する農家の方の指導を受けて作業をする大学生(©小田原かなごてファーム)
土地を所有する農家の方の指導を受けて作業をする大学生(©小田原かなごてファーム)

▶︎小山田大和さんへの過去のインタビューはこちら

全国ご当地エネルギーリポート(2017年8月)

太陽の力で耕作放棄地の解消をめざす−ソーラーシェアリング 

課題は解決できる 

ここまでお伝えしてきたソーラーシェアリングのもつ可能性をまとめると、次のようになります。

・地域や国の食料自給率やエネルギー自給率を向上させる

・農家の高齢化、後継者不足を解消して、耕作放棄地を含む農地の保全につなげる

・エネルギー多消費産業である農業を持続可能にする

・国全体の脱炭素、気候変動対策に貢献する

他にも、緊急時には地域で電力を使用できるようにしておけば、「災害時の地域のエネルギー安全保障につながる」という面もあります。

千葉市大木戸アグリ・エナジー1号機のドローン写真(©千葉エコ・エネルギー)
千葉市大木戸アグリ・エナジー1号機のドローン写真(©千葉エコ・エネルギー)

このように、さまざまな可能性のあるソーラーシェアリングですが、制度開始から10年が経ついま、全国にそれほど普及しているわけではありません。件数自体は、静岡県や千葉県、群馬県などを中心に毎年増えています。しかし、太陽光発電(非住宅)導入件数と比較すると、2020年度のソーラーシェアリングの比率は2%程度と限られたものになっています。

馬上さんは、その理由を説明してくれました。ひとつは採算面です。設備の設置コストは、架台を高くすることなどにより、一般の太陽光発電設備より大きくなります。また、FITの売電収入も年々下がっているため、大きな収益にはつながりません。制度面では、地域によって異なる農業委員会の許認可のハードルの高さや、送電網への接続が容易に認められないといったことが挙げられます。

さらに、金融機関が融資してくれない、行政の理解が得られない、地元関係者が関心を持ってくれない、といった根深い課題もあります。これらの背景にあるのは、「ソーラーシェアリングの認知度がとても低い」という事実です。事業者の側にも課題はあります。企業によっては、始めから農業の手を抜き、売電収入を増やすことを目指すいわば「不適切な設備」をつくっています。これは、FIT制度のゆがみを利用したもので、ソーラーシェアリングという体裁だけ整っていればよいというものではなく、地域の農業の保全に役立っていることが大切です。

馬上さんが経営する別のソーラーシェアリング。この土地は荒廃農地でしばらくは耕作できないが、土地を休ませている間にプランターで作物を育て、上で発電を行える(©千葉エコ・エネルギー)
馬上さんが経営する別のソーラーシェアリング。この土地は荒廃農地でしばらくは耕作できないが、土地を休ませている間にプランターで作物を育て、上で発電を行える(©千葉エコ・エネルギー)

馬上さんたちは、ソーラーシェアリング推進連盟を立ち上げ、こうした問題に対処するよう、制度の改正を働きかけてきました。その努力もあって、それぞれの分野で少しずつ改善されてきた面もあります。今後も、こうしてひとつひとつ課題を乗り越えながら、長い時間をかけて新しい取り組みが認められていくのかもしれません。

とは言え、これまで事業者が試行錯誤して身を削りながら、新しい現実をつくってきた姿を見てきたぼくとしては、いつまでも事業者の努力まかせにしていてもいいのか、という思いがあります。そもそもここで挙げられている課題のほとんどは、国や自治体、農業関係者が本気で取り組もうとすれば、十分に解決可能なものばかりです。

政府は、2050年までのカーボンニュートラルの達成を掲げています。また農林水産省も、2050年までの農業からのCO2排出をゼロにすることを掲げます。そうした目標の実現を本気でめざすのであれば、食料生産を守りながら、再生可能エネルギーを増やすソーラーシェアリングは、間違いなく有力な手段となります。

馬上さんによれば、国内の農地(440万ヘクタール)の5%にあたる22万ヘクタールにソーラーシェアリングを設置すれば、国内で消費する電力量の20%をまかなえます。しかも、農地をつぶさず、むしろ耕作放棄地などをよみがえらせるポテンシャルを秘めています。

ソーラーシェアリングは日本で誕生した取り組みですが、現在では他の国々に追い抜かれつつあります。目立つのは、各国政府の積極的な関与です。例えば、韓国やイタリアでは国策として導入目標を設定しています。また、ドイツやフランス、イスラエル、オーストラリアなどでは、規制緩和を進めたり、研究開発に多額の予算をつけています。日本でも、善意の事業者まかせにするのではなく、ソーラーシェアリングを推進しやすいよう、政府がもっと積極的に支援策を打ち出していく必要があるのではないでしょうか。

この畑では大豆と落花生などを栽培。パネルの下でも上でも生育はほとんど変わらない(©高橋真樹)
この畑では大豆と落花生などを栽培。パネルの下でも上でも生育はほとんど変わらない(©高橋真樹)
馬上丈司さん(左)と著者(©赤坂久美)
馬上丈司さん(左)と著者(©赤坂久美)


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あとがき

以上、高橋真樹さんからの素晴らしい寄稿をご紹介しました。なお、この記事は、有料登録読者限定で先行公開しました。今月下旬には無料読者の方にも公開する予定です。

パル通信で、書き手の方による「寄稿」の取り組みは今回が初めてです。ぜひ、読者の方の感想をお待ちしております。下記のフォームから、今回の高橋真樹さん寄稿のご感想をお送りください!

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私は「ソーラーシェアリング」に関する知識や情報はほとんどなかったのですが、高橋さんの記事を読んで、大きな可能性を感じました。身内の田畑がある長野県で、この取り組みができないだろうか...とも考え、さらに詳しく知りたいと思いました。

一方、田畑を持たず、農業に従事していない多くの「パル通信」読者にとって、消費者として今すぐできることは何なのか?これについて、高橋さんに伺ってみました。すると、こんな答えがかえってきました。

「農業や食に関わっている方であれば、まず、その存在を知ってもらうこと。できれば取り組んでもらいたいと思っています」
「企業関係者で土地や農地を所有している方は多いので、活用法の一環として検討してほしいです。農家と関わりのある企業では、共同で手掛ける方法もあると思います」
「自治体や金融機関、地域の人の理解が進んでいない現状があるので、農業と関わりない分野の方との関わりも、とても重要です」
「一般の方は、食とエネルギーの自給率の低さが今の危機を招いていることを再認識するきっかけにしてもらい、新しい取り組みを拒否せず応援していただければと思います。太陽光パネルを家に設置したり、断熱したりなどによる、ガマンしない省エネが大事です。省エネについては、また別の記事で書ければと思います」
「有機野菜に高い付加価値がつけられるように、今後は、農地を保全して作った電力に高い付加価値をつける、ソーラーシェアリングで耕作放棄地をよみがえらせて作った作物に付加価値をつけるなど、社会的評価につなげることも、ソーラーシェアリングを広げるきっかけになるかもしれません。このことは、馬上さんが話していました。そのためには、政府が補助金をつけるとか、そういうことだけでなく、幅広い人の理解があってこそ成り立つものなので、関係のない人はいないと思います」

以上、高橋さんの考えと思いを伺いました。

知ることで意識が変わり、行動が変わり、成果に結びつく。これは、私が2008年から「食品ロス」問題に取り組んできた実感です。ついには食品ロスに関する法律も施行され、2008年当時と比べて2021年のマスメディアでの「食品ロス」の露出は50倍以上になりました。

「ソーラーシェアリング」に関しても、今回、読者の方に知っていただいたことを一歩として、これからも、知ること、行動すること、共に進めていきましょう。

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今日の書籍

今回、寄稿していただいた高橋真樹さんのご著書『日本のSDGs それってほんとにサステナブル?』(大月書店)と、『こども気候変動アクション30 未来のためにできること』(かもがわ出版)については、パル通信29号とパル通信44号でご紹介しています。新しく読者になられた方、ぜひご覧くださいね。

『農業新時代 ネクストファーマーズの挑戦』(川内イオ、文春新書)

すでに4刷になっている本です。この記事に登場している知人が、この本で紹介されているので読んでおりました。川内イオさんは、この続編として、『農業フロンティア 越境するネクストファーマーズ』という本も出版しています。

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今日の映画

『非常宣言』

韓国のソン・ガンホとイ・ビョンホンが共演する、飛行機テロのストーリーです。ウィルスを撒き散らされたらどうなるのか・・・ウィルスは、今や世界的な関心ごと。韓国映画は、世界を見据えて制作されており、そのことがよく伝わってくる映画です。片時も目を離させない展開。

妻を救うため地上から飛行機テロを解決しようと奔走するベテラン刑事のク・イノを演じるのは『パラサイト 半地下の家族』、『ベイビー・ブローカー』など数々の大ヒット映画に出演し、第75回カンヌ国際映画祭で韓国人初となる男優賞を獲得するなど世界的な評価を受けるソン・ガンホ。娘の治療のため、飛行機に乗り合わせた乗客パク・ジェヒョク役には、『G.I.ジョー』シリーズ、『ターミネーター:新起動/ジェニシス』など、ハリウッド映画にも進出し、近年では「イカゲーム」のカメオ出演で話題となった韓国を代表するトップスターのイ・ビョンホン。韓国映画界を牽引する大物俳優のふたりが地上と上空でそれぞれが愛する人のために奮闘する姿を描いた航空パニック作品となっている。ほかにも『殺人者の記憶法』などに出演し、カメレオン俳優として名高いキム・ナムギル、『シークレット・サンシャイン』などで知られる実力派女優チョン・ドヨン、ドラマ「ミセン –未生-」のイム・シワンなど豪華キャストが集結。混乱の渦に包まれたKI501便が迎える運命とは──その結末に乞うご期待!

ウイルステロの映画は、他にも『L:Change the World』(2008)などが制作されています。

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編集後記

2023年も、半月が過ぎました。早いですね・・・いつも「今年やりたい100のこと」を書いていますが、今年の分はまだ途中までしか書いていないので、1月中に書くつもりです。

年明けから始めたビジネス英語の毎朝のレッスン、今日1月15日で11回の受講が終わりました。明日以降も、毎朝、続けていく予定です。

講演予定としては、明日1月16日が四国のシンポジウム、25日に損保ジャパン、2月2日が流山市議会、2月10日が岐阜県のJAです。昨年から、書籍の監修2冊が並行して進行しています。

先日、じゃがいものニョッキを作ってみました。ニョッキって、レストランで頼むものという先入観でしたが、家で作れるんですね。パル通信読者で、乾物文化を世界に広めていらっしゃる、サカイ優佳子さんのメールマガジンに載っていたので、じゃがいものフレークを購入し、生クリームとブルーチーズで作ってみました。家で作れるんですね!ちょっと食感がざらざらしてしまったので、次回はもっとなめらかになるように工夫したいです。サカイさん、ありがとうございました。サカイ優佳子さんのメールマガジン、登録はこちらです。ぜひご覧くださいね。

それでは、今週も充実した日々をお過ごしください!

2023年1月15日

井出留美

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