長崎経済研究所による食品ロスアンケートと知られざる長崎の魅力 パル通信(169)
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長崎経済研究所が、2024年3月1日~7日、長崎県民386名を対象にした食品ロスに関するアンケート調査を実施しました。その概要と結果についてお伝えします。また、3月3日から14日までの2週間近く長崎県に滞在しましたので、そこで知った長崎の魅力についてもお伝えします。
長崎県民、9割が「見切り品購入する」?
福岡フィナンシャルグループの長崎経済研究所が、以下の調査方法で、食品ロスに関するアンケート調査をおこないました。
調査方法 : 長崎県内に居住する18歳以上男女をモニターとするweb アンケートサイト「リサチャン」で実施
調査期間 : 2024年3月1日(金)~3月7日(木)
回答者数及び属性 : 386人
年齢:30歳代以下63人、40歳代87人、50歳代115人、60歳代以上121人
詳しい結果は長崎経済研究所の記事(1)にあります。質問項目としては、定番の「賞味期限・消費期限の違いを知っているか」を含めて、食品ロス削減への意識の有無、期限が過ぎても食べる判断基準、「てまえどり」の認知度や実践度合いについて、などです。
その中でも印象に残ったのは、見切り品を93.8%の人が「購入する」と答えたことです。内訳として「商品によっては購入する」(58.0%)と「積極的に購入する」(35.8%)となっています。
ながさき経済web「もったいない!食べ物を捨てていませんか?」より引用
この結果は納得感のあるものでした。なぜなら、長崎県内のあるスーパーで、店員さんが見切り(値引きのシール貼り)作業を始めたところ、多くの客が集まってきて、そばで待機していたからです。10名弱ぐらいでしたでしょうか。
長崎県内のあるスーパーで店員の見切り作業(値引きシール貼り)を待つお客さんたち(筆者撮影、2024.3.13)
首都圏でも、このような光景を見ることがありますが、店によっては、お客さんが値引き品を買うことを恥ずかしく思って、写真のように集まってこない場合もあります。見切り品をカゴに入れるのすら恥ずかしい、人に見られたくないという人もいます。長崎で出会ったこの姿勢は好ましく思えるものでした。私自身も、普段から積極的に見切り品を買っているからです。
大村市「大きな新鮮村」
今回、長崎大学情報データ科学部主催シンポジウムでの講演の機会をいただいた(2)のにあわせて、長崎県内をまわりました。食料品を売っているお店は、長崎市、諫早市、大村市、対馬市で訪問しました。中でも印象的だったのは、大村市にある「大きな新鮮村」(3)という店です。JR大村駅に近い商業施設「コレモおおむら」内にある産直市場という位置付けのようです。
地方にある食料品店だと、地産地消、地元ならではの食料品が並んでいますよね。もちろん、そのような食品もあって、なんと写真のピーナツ豆腐は税込95円! 沖縄県で知られる「ジーマミー豆腐」はピーナツ豆腐のことですが、首都圏で買うと、1個200円前後はします。
大きな新鮮村で95円で売っていたピーナツ豆腐
他にも、大ぶりのパッションフルーツが2つで税込380円。首都圏の一般的なスーパーでは、パッションフルーツはまず見ません。東京・表参道の紀ノ国屋など、高級スーパーなら売っているかもしれませんが、価格はもっと高いでしょう。
そうかと思えば、この「大きな新鮮村」には、高価格帯の商品もありました。たとえば環境意識の高いブランド、パタゴニアの缶ビール。これはパタゴニア公式サイト(4)で買うと、1本税込で682円します。「大きな新鮮村」では税込638円で販売されていました。納品されているということは、買い手がいる、ということですよね。
店内には、食品ロス削減にご協力を、といったサインボードが掲げられていました。
ミライon図書館や書店「clips on(クリップスオン)」
長崎県と、長崎県大村市が運営する図書館、「ミライon図書館」(5)。JICA海外協力隊時代の友人が、以前ここの近くに住んでおり、週3回は通っていたそうです。彼は「日本一の図書館」だと評していました。
長崎県大村市、JR大村駅近くにあるミライon図書館(筆者撮影)
また、さきほどの産直市場「大きな新鮮村」のそばにはclips on(クリップスオン)という書店&カフェ&レコード店&文具店があります(6)。ここは、店の入り口を入ってすぐのところに長崎県にゆかりのある著者の本コーナーがありました。また、店員さんが本に対して愛情を持っていて、いわゆる流行りの本だけを置いているのではないことが、品揃えから伝わってきました。本好きにはたまりません。
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大村市 酒とめし 燈(ともしび)
ニュースレター「パル通信」168号では、「長崎県の食品ロス活用で食品産業もったいない大賞大臣賞受賞!/長崎のうまいもの」と題して、諫早市や対馬市、大村市のおいしい飲食店をご紹介しました(7)。その中で、大村市にある「酒とめし 燈(ともしび)」は、2023年12月に開店したばかりながら、味や見栄えの美しさが優れており、感銘を受けました(8)。
牛すじのポン酢、大村市の「酒とめし 燈」にて(筆者撮影)
対馬市の老舗、渡辺菓子舗の「かすまき」
長崎県の離島である、対馬(つしま)。ここは日本の離島の中で3番目に大きな島です(沖縄と尖閣諸島を除く)。対馬市の老舗、渡辺菓子舗(9)の「かすまき」と「黒胡麻最中」がおいしいですよ、と長崎市在住の千々岩(ちぢわ)源大さんに教えていただき、自分でも味わってからお土産で数カ所に送りました。「かすまき」は、カステラ生地で、黒あん(もしくは白あん)をくるんだ和菓子です。お贈りした先から絶賛の声が届き、贈ったこちらとしても嬉しかったです。使い捨てプラスチックが少々気になりましたが、つぶれないように、また菓子が包み紙にくっつかないためには致し方ないでしょうか。
渡辺菓子舗のかすまきと黒胡麻最中、「桃」(筆者撮影)
対馬市 和多都美(わたづみ)神社
対馬市は、神社や寺が多い土地です。多くの神社を廻りましたが、中でも和多都美(わたづみ)神社の森は、あたかも伊勢神宮のような、神秘的で幻想的な雰囲気を漂わせていました。長崎在住の方によればパワースポットだそうです。
長崎県対馬市の和多都美神社(筆者撮影)
長崎の魅力は多くの方によって語られています。それでも、まだまだ知られざる魅力が多いのを感じました。中でも大村市は空港からのアクセスがとてもよく、今回泊まったホテルまでは空港からタクシーで5分でした。暮らしてみたい街だと思いました。
参考情報
10)和多都美神社 公式サイト