奈良のうまいもの パル通信(101)
朝日新聞に、松本隆さんのこんな言葉が書かれていました。
なんの拍子だったか、作詞家になった頃にこう思った。一生に食事をする回数は限られている、まずいものを食べてしまうと、その一食、損をする、なるだけおいしいものを食べた方がいい。それがぼくの基本になった。
パル通信92号でも、この言葉を引用しました。「おいしく」食べる生活を送りたいですね。
今月、執筆のための取材で奈良に滞在しました。奈良は、大学時代に4年間住んだ土地でもあります。当時から知っているお店、卒業後に知ったお店などをご紹介します。
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お知らせ
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釜めし 志津香
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フレンチ&イタリアン SUENAMI
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焼肉 筒井
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松籟(しょうらい)まつのおと
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粟(あわ)
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ふりぽんぬ
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よつばカフェ
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池利
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ワインの王子様
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LAMP BAR
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くるみの木
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白 つくも
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今日の書籍
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今日の映画
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編集後記
お知らせ
1)4月9日(日)9:30am-10:30am、サポートメンバーを対象にした「パル通信」オンライン交流会を開催します。zoomのURLはサポートメンバーの方にお伝えします。サポートメンバーには、登録ボタンから登録していただけますので、この機会にどうぞ。
2)パル通信のサポートメンバーで、ニューヨーク在住のデザイナー、YAMMA(ヤンマ)ブランドの山崎ナナさん。ナナさんの娘さんのノイさんが、このたび「No Food Loss」のステッカーを作ったそうです!米国内でしたら送料込みで一枚$3、日本でしたら送料込みで一枚400円で販売し、売上は寄付されるそうです。私も注文することにしました。購入希望の方は、このニュースレターの「返信」機能で返信していただければ、ナナさんにお伝えしますね。
山崎ナナさんより、ノイさんデザインの「No Food Loss」ステッカー
3)近鉄奈良駅からほど近いところにある啓林堂書店奈良店では、私の著書のほとんどを置いていただいています(サイン本)。自己紹介リーフレットの「イデルミ物語」などもありますので、お近くの方は行ってみてください!(啓林堂書店の西田大栄さんには、2015年から大変お世話になっています。ありがとうございます)
釜めし 志津香
創業60年になる釜めしのお店です。大学時代から通っていました。注文を受けてから、だし で炊いています。一般的に、釜めしを食べると、ご飯が茶色いことが多いのですが、ここのは白く、だしの香りがとてもよいです。
私がいつも食べるのは、七種の具が入った「七種(ななしゅ)」です。
志津香の釜めし(筆者撮影)
店舗は、東大寺へ向かう途中にある「公園店」(近鉄奈良駅から徒歩10分強)と、近鉄奈良駅からひと駅、京都寄りに進んだ新大宮駅から徒歩6分ぐらいの「大宮店」があります。公園店は、近鉄奈良駅から近いので、外国籍の方や修学旅行生が店の外で行列していることもあります。公園店は予約できませんが、大宮店は事前に電話予約ができ、店の外ではなく、中で待つこともできますし、席数も多いので、私はたいがい大宮店へ行きます。大宮店は、もともと個人宅だったそうです。
フレンチ&イタリアン SUENAMI
この店は、10年以上前には、大和郡山市小泉町東2-11-7に店を構えていました。しばらくご無沙汰しているうちに、大和郡山市冠山町637-5に移転されていました。10年以上前でもはっきりと覚えているのが、お料理の熱いものは熱いうちに、冷たいものは冷たいうちに提供してくださる姿勢です。とても小さな店だったのに、印象に残る店でした。今はランチもディナーもコース料理になっています。
焼肉 筒井
環境のため、牛肉を食べるのを控えている方にはごめんなさい。牛肉は普段ほとんど食べないのですが、お祝いごとの時や、旅行の時などには、たまに食べています。
創業66年、焼肉の筒井は、10年以上前に行った時に強く印象に残っていた店です。最近では焼肉のチェーン店も増えてきて、中には冷凍のままで出てくる店などもありますが、ここは、分厚くて、しっかりとした質の良い肉を出してくれます。焼いているときの香りもとてもよいです。
松籟(しょうらい)まつのおと
古民家で、隠れ家的なお店です。私の母校、奈良女子大学から徒歩1分程度のところにあります。
まつのおと(筆者撮影)
これまで3回ほど行っていまして、今回、鍋を注文しようと思ったら、お店の人に6種類紹介されました。
1)飛鳥なべ(牛乳をベースにしたもの)
2)れんげなべ(ポーク)
3)牛なべ(ホルモン)
4)うになべ
5)しびれプリン(プリン体の多いエビやあん肝などをたっぷり入れたなべ)
6)ぼたんなべ
松籟(しょうらい)まつのおと の玄関(筆者撮影)
6種類の中から「しびれプリン」を頼みました。辛いので、辛いのが苦手な人は避けたほうがいいかも。かなり味が濃厚です。
夏は、本館とは別の「離れ」の建屋で、リキュール入りなど、ちょっと変わったかき氷を提供してくれます。
粟(あわ)
奈良らしい野菜と古民家での食事を味わうなら、ここ。2店舗あり、近鉄奈良駅から近いのは、「ならまち店」。大和の伝統野菜をおいしく料理して提供してくれるお店です。
ふりぽんぬ
沖縄の食材を使ったフレンチを提供してくれます。ならまちにあって、ちょっと隠れ家的なお店。創業20年以上。席数が限られているので、予約して、ゆったりと過ごすことができます。私は大学時代のテニス部の仲間と、時々、ここに来ています。
よつばカフェ
奈良の古民家カフェのはしりといえばカナカナかな?まだ、今ほど古民家カフェがない時代から創業していたお店です。
よつばカフェも女性に人気のカフェです。アンティークが置かれていて、ちゃぶ台みたいなテーブルと座布団で、まるで誰かの家に遊びに来たような雰囲気を味わえます。
池利 三輪素麺茶屋 千寿亭
この店は行ったことがないのですが、日頃、そうめんやにゅうめんを家で食べるのに、取り寄せているのが、池利の三輪素麺です。麺のコシがしっかりしています。楽天などの通販サイトで購入することができます。私はいつも池利の「訳あり」でお手頃価格になっているものを注文しています。
ワインの王子様
近鉄奈良駅から奈良女子大学へと向かう途中にある酒屋さん。築200年以上の酒蔵を持つ、昔ながらの酒屋さんが、10数年前に改築して、ワインの量り売りやワインを店内で飲める店「ワインの王子様」になりました。マスク解禁(2023.3.13)の前に訪問したので、予約しないとお店で飲めませんでしたが、おそらく今は、予約なしでも飲めるようになっていると思います。
LAMP BAR
夜8時にはもう店が閉まる・・・というのが大学時代の奈良でした。そんな奈良で、夜中までやっているバーがあります。バーテンダーの世界大会で優勝した、金子道人さんがオープンさせたLANP BARです(ディアジオ社が主催するバーテンダー世界大会「WORLD CLASS 2015」でBARTENDER OF THE YEAR優勝)。
LAMP BAR(筆者撮影)
私が行ったときには、金子さんはいらっしゃいませんでした。メニューはなく、カクテルなど、好みを伝えれば作ってくれます。私は1度しか行ったことがないですが、だいたい1杯2,000円台ぐらいからではと思います。この店は、「え、こんなところにあるの」という、商店街から1本入った、奥まった場所にあります。
くるみの木
カフェと雑貨を組み合わせた店は、今でこそ多くありますが、私の大学時代はそうありませんでした。その時代に、すでにオープンしていたのが「くるみの木」です。オーナーの石村由起子さんが手がけたお店です。ちょうど卒業前に住んでいた、奈良市法蓮山添中町のそば、法蓮町というところにあります。石村さんは、『小さな幸せみつけた』など、複数の著書もお持ちです。
奈良は町の名前が面白く、奈良女子大学があるのは「北魚屋西町」。私が最初に下宿していたのは「坊屋敷町」、商店街があるのが「餅飯殿(もちいどの)町」、ほかにも不審ヶ辻子町(ふしがづしちょう)、百楽園(ひゃくらくえん)など、地名を研究している人にとっては、ネタにことかかない名前がたくさんあります。
白 つくも
ここは、いつか行ってみたい店です。日本料理の店で、店名は「百」という漢数字から一をマイナスすると「九十九」になるので、それを「つくも」と読ませています。完璧ではない「九十九」にこだわっているとのこと。
以上、ご紹介したいお店はまだまだありますが、奈良のお店のほんの一部を紹介しました。旅行や出張で行かれる際の参考にしてみてくださいね。奈良は「遠い」「行きにくい」と思っている人もありますが、京都からは、近鉄電車の特急を使えば30分で到着します。ゆる鉄子の私は、いつか近鉄電車の「あをによし」も乗ってみたい!
今日の書籍
「ナッジ」は、禁止や指示をすることなく、人々に自発的な行動変容を促すことを指します。たとえばスーパーやコンビニのレジの前の床にテープを貼り、ソーシャルディスタンシング(人と人との間隔を空ける)を促すのもナッジです。
スーパーやコンビニでは、顧客が手に伸ばしやすいところに野菜やサラダなどの健康的な食品を置くと、それを取る率が高くなります。「健康によいものを買いましょう!」と指示しなくても、自然に、その食品が買われるようになります。ポイ捨てがなくなるように、ごみ箱にバスケットボールのゴールのようなものを設置すると、みんなが面白がってそこに入れるようになるとか、スウェーデンでは、エスカレーターの横の階段を「ピアノ階段」にし、音が鳴るようにしたら、みんな階段を使うようになったとか(富山県にも同様のものができたそうです)。ナッジには、おもしろい事例がたくさんあります。パル通信の17号に書きました。
「スラッジ」とは、その反対。面倒な手続きのプロセスをたくさん設けて、申請をさせないようにする、などです。
この本の著者は、ナッジを広めた、キャス・R・サンスティーン。たくさんの事例とエビデンスに基づいた内容になっています。書籍そのものは、薄い割には高いのですが、この分野を学びたい人にとっては買って損はない本です。
今日の映画
『フェイブルマンズ』
50年にわたる映画監督のキャリアを誇る、スティーブン・スピルバーグの自伝的作品です。子どもの頃、どんな両親や姉妹のもとで育ち、どんなことを考えて、映画監督になる夢をかなえたのかが描かれています。
スピルバーグの家庭は、幼少期こそ幸せそのものですが、さまざまな問題を抱えていたことが、映画の途中から描かれていきます。スピルバーグは、ご両親が亡くなってからでないと、この自伝的作品は制作しない、と決めていたそうです(そりゃそうだろうな、と、映画を観て納得)。「フェイブルマン」というのは、映画の中で、スピルバーグの家族の苗字として使われているのですが、これは本名ではありません。この映画の共同脚本を担当したトニー・クシュナーが提案したそうで、フェイブルマン(fableman)=「作り話の人」「寓話家」といった意味だそうです。
ラストシーンでは、アカデミー賞を歴代最多の4度受賞した映画監督のジョン・フォードが登場します(演じるのはディヴィッド・リンチ)。彼は、突然やってきた少年(スピルバーグ)に対し、どんな言葉をかけるのでしょうか。
今回のアカデミー賞では、ノミネートされながらも、残念ながら無冠に終わりました。映画公式サイトの「ニュース」に掲載されている秘蔵映像や撮影秘話を見てみてください。
編集後記
ラジオ日本、3月27日(月)21:00-21:30と、4月3日(月)21:00-21:30に、収録出演します。拙著『北欧でみつけたサステイナブルな暮らし方』(青土社)をテーマにお話しします。
飛び込みで、3月29日にテレビ撮影が入りました。
共著でご一緒した小泉武夫先生が、「発酵列車」でトークをするとのことで、18名限定のところに応募したら当選しました。30日に岐阜県で発酵列車に乗ってきますね。
3月も残り10日。楽しく過ごしましょう!
2023年3月21日
井出留美
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