最新報告書:世界各国がプラネタリー・ヘルス・ダイエットを実践すれば2050年までに96億人を養いながら環境改善できる
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ニュースレター「パル通信」274号では、2025年10月2日に発表された、食料システム変革に関する最新の報告書について、翻訳した上で解説します。食品ロスのことについても言及されています。
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<お知らせ>
*10月30日(木)午後、東京駅そばで第9回食品ロス削減全国大会が開催され、登壇します。参加費無料、予約不要です。ブース出展も多数ありますのでぜひお越しください。なお、17時閉会後、第14回「パル通信」サポートメンバー限定交流会を大手町・東京駅近辺で開催します。参加ご希望の方は、予約の都合上、10月18日までにお知らせください(前日までは受け付けますが、だいたいの人数が把握できないと予約が難しいため、18日までだと助かります)。
*2025年10月21日まで、食品のパッケージ前面に栄養表示をする案について、政府がパブリックコメント募集中です。欧州でも議論されています→「日本版包装前面栄養表示ガイドライン」案に関する意見募集について
*三省堂発行、英語教員向け冊子「TEN」に寄稿しました。これまでのキャリア変遷や英語学習に関することなど、写真入りで1ページに書いています。インターネット上でお読みいただけます。冊子そのものをご希望の方は、サポートメンバー限定で郵送しますのでお知らせください。
*『食べすぎる世界』(英治出版)で日本語版序文(5,000字)を執筆、10月10日出版、日本語版序文、英治出版公式noteで公開されました。
*『おやつのおぼうさん』(くもん出版)、13冊目の著書、12月9日出版します。印税の一部をおてらおやつクラブに寄付します。さらに、バリューブックスで注文すると売り上げの2割がおてらおやつクラブの寄付になります。
*10月19日(日)10:30-、13:30ー、埼玉県川口市のキュポラで、出演映画『もったいないキッチン』が上映されます。
*10月28日(火)19:30-21:00、オンラインで、LFCコンポストのたいら由以子さんと井出留美の対談「地域で生み出す小さな循環」がおこなわれます。婦人之友社主催で、peatixでチケット販売中です。オンラインですので、どこからでもご参加いただけます。
*11月4日(火)午後、神戸大学でのシンポジウムで登壇します。参加費無料、一般の方大歓迎だそうです。予約受付中です。
*11月5日(水)午後、奈良県天理市の天理大学で講演します。もうすぐ告知がスタートします。
EAT-ランセット委員会「健全で持続可能かつ公正な食料システムに関する報告書」を発表
2025年 EAT-ランセット委員会は、2025年10月2日、「健全で持続可能かつ公正な食料システムに関する報告書」を発表しました(1)。この報告書は、食料システムに関する「最も包括的な世界的科学的評価」と評されています。中には食品ロス削減に関しても触れられています。
ちなみに「EAT」は、Engage(関与)、Act(行動)、Transform(変革)の略を意味しています。
最富裕層の30%が食関連環境負荷の70%以上を発生させている
この報告書で得られた主な知見は次の通りです。
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世界の食習慣を変えることで、年間最大で1,500万人の早期死亡を防ぐことができる可能性がある
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食料システムは、5つのプラネタリー・バウンダリー(planetary boundaries)の超過に最も大きく寄与している
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食料システムは、現在、世界の温室効果ガス総排出量のうち、およそ30%を占めており、食料システムを変革すれば、この排出量を半分以上、削減できる
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現在、世界人口の1%未満しか「安全で公正な領域」にいることができていない。この領域では、人々の権利と食料ニーズがプラネタリー・バウンダリー内で満たされる
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最富裕層の30%の人々が、食関連環境負荷の70%以上を発生させている
「プラネタリー・バウンダリー」とは「地球の限界」を示します。環境省は、令和5年度の環境白書(2)で、次のように説明しています。
地球の限界(プラネタリー・バウンダリー)という注目すべき研究があります(図1-1-1)。この研究によれば、地球の変化に関する各項目について、人間が安全に活動できる範囲内にとどまれば人間社会は発展し繁栄できるが、境界を越えることがあれば、人間が依存する自然資源に対して回復不可能な変化が引き起こされるとされています。2015年と2022年の研究結果を比べると、種の絶滅の速度と窒素・リンの循環に加え、新たに気候変動と土地利用変化、新規化学物質が不確実性の領域を超えて高リスクの領域にあるとされました。
プラネタリー・バウンダリーは、9つの境界があります。
このうち、6つで、すでに限界を超えているのです(気候変動、生物多様性、土地、淡水、窒素・リン汚染、新規生物)。そして食料システムは、これら6つのうち5つの最大要因であり、世界の温室効果ガス排出のおよそ30%を占めています。
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コラボ実績
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