世界に共有したい日本の25の食材 小山薫堂プロデュース・シグネチャーパビリオンと食業界の有識者らが選定
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今回のニュースレター「パル通信」192号では、食の未来をより良くするため、世界に共有したい日本発の食のリスト「EARTH FOODS 25」についてご紹介します。これは2025年大阪・関西万博 小山薫堂プロデュース・シグネチャーパビリオン「EARTH MART」と食業界の有識者たちが選定した25の食品や食材です(1)。
「シグネチャーパビリオン」とは、8人の専門家(テーマ事業プロデューサー)がつくる、大阪・関西万博を象徴・代表するテーマ事業です。大阪・関西万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」を、プロデューサーがそれぞれの観点から解釈、展開し、未来に生きる人々に繋ぎ渡す「署名作品」としてパビリオンを建設します。小山薫堂氏(放送作家、脚本家)は「いのちをつむぐ」がテーマのパビリオン「EARTH MART」をプロデュースしています。
「EARTH FOODS 25」とは
「EARTH FOODS 25」とは、日本が培った食材や食品、食の知恵・技術の中から25を選定し、その価値を国内外に発信することで、地球の食の未来をより良くするためのアイディアを共有するためのリストです。
どんな食材・食品が選ばれたの?
以下の25の食材・食品です。
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米粉
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餅
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豆乳
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高野豆腐
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あんこ
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大根
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わさび
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山椒
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かんぴょう
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こんにゃく
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抹茶
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香酸かんきつ(ゆず、橙、かぼす、すだち)
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梅干し
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椎茸・干し椎茸
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昆布
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わかめ
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海苔
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寒天
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ふぐ
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すり身
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鰹節
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麹・種麹
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日本酒・本みりん
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しょうゆ・みそ
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野菜の漬物
EARTH FOODS 25 (EARTH MART提供)
選定にあたっての10の視点とは
25の食材や食品を選ぶにあたっては、以下の10の視点が指標となっています。
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栄養的な視点:栄養価が高井、健康に必要な栄養素が含まれている
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環境配慮の視点:地球環境に悪影響を与えない、良い影響を与える
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持続性の視点:安定供給できる、未利用食材を有効活用できる
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多様性の視点:食べる人を選ばない、多様な料理に使用できる
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倫理的な視点:ヒトや動物等の身体的・心理状態への配慮(アニマルウェルフェア、フェアトレードなど)
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経済的な視点:比較的入手しやすい、コスト負担が少ない
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嗜好的な視点:食べておいしい、料理をおいしくする
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文化的な視点:日本の歴史、伝統、食文化に根ざしている
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汎用性の視点:食べ方にバリエーションがあり、料理に使いやすくアレンジしやすい
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情緒的な視点:食べる人の気持ちを豊かにする
誰が選んだの?
「EARTH FOODS検討委員会」です。食業界の第一線で活躍している有識者をアドバイザリーボードに迎え、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)シグネチャーパビリオン「EARTH MART」のテーマ事業プロデューサーである小山薫堂さんと8名の有識者、合計9名が委員会のメンバーです。
(以下、敬称略)
小泉武夫(農学博士、東京農業大学名誉教授)
村田吉弘(菊乃井 三代目主人)
門上武司(フードコラムニスト、「あまから手帖」編集顧問)
辻芳樹(辻調理師専門学校校長、辻調グループ代表)
外村仁(Food Tech Studio - Bites!ファウンダー、元Appleマーケティング本部長)
野村友里(eatrip主宰/料理人)
石川伸一(宮城大学食産業学群 教授 「EARTH MART」アドバイザー)
大屋洋子(食生活ラボ 顧問・研究主幹)
小山薫堂(大阪・関西万博テーマ事業「EARTH MART」総合プロデューサー)
「EARTH FOODS検討委員会」のメンバー(EARTH MART提供)
なぜこれら25の食材や食品が選ばれたの?
詳しくは、参考情報(1)の、世界に共有したい日本発の食のリスト「EARTH FOODS 25」発表!をご覧ください。一つひとつの食材や食品に関して、なぜ選ばれたのか、選んだ人の思いとはどのようなものなのかが詳しく書いてあります。
EARTH FOODS 25 (EARTH MART提供)
25の食材・食品について思うこと
プロフェッショナルの方々が選んだ理由については参考情報(1)に書いてありますので、ここでは私が「EARTH FOODS 25」を見て思い起こしたことを、つれづれなるままに書いてみたいと思います。
1、米粉
私は米粉パンの、もちもちした食感と噛みごたえのあるところが気に入っています。米やパンなど、穀類に関する支出金額は、昭和55年(1980年)にはパン(2.6%)より米(8.7%)の方が3倍以上高かったのが、平成22年(2010年)には米(3.4%)とパン(3.4%)が同じになりました。これを境にして、今ではパンへの支出金額の方が、米より多くなっています。このままだと、米の消費がますます減っていきそうです。米粉パンであれば、パン好きな人の米の消費を促すことができるのでよいと思います。が、パンの作り手からすれば、米粉は、外国産の小麦よりコスト高なのがネックかもしれませんね。
2、餅
岩手県一関市のジャズバー、BASIE(ベイシー)(3)をご存知でしょうか。菅原正二さんがマスターです。菅原さんは三浪して早稲田大学に入学しました。当時、3歳年下のタモリさんは、早稲田大学モダンジャズ研究会でトランペットを吹いていたそうです(4)(5)。タモリさんは菅原さんのBASIEを訪問しており、お店にはタモリさんのサインもありました。現在、BASIEは残念ながら休業中ですが、参考情報(3)を見ていただくと、休業中、ブルータスの取材のため、特別に店を開けてくれたBASIEの様子がわかります。
BASIEがある一関市は「餅」で有名。江戸時代から、この「餅」を食べる食文化が続いているそうで(6)、一関と平泉の餅の種類はなんと300種類!年間60回以上も食べるんですって。
なぜ、こんなに餅が浸透したのか?江戸時代、一関を治めていた伊達藩は、毎月1日と15日に餅をついて神様に供え、平安無事を祈る習慣がありました。でも、お供えには白い餅を供えるものの、農民たちは貧しいので、くず米に雑穀を混ぜた「しいなもち」という、真っ白ではない餅を食べていたそう。そこで、このおいしくない「しいなもち」を、なんとかしておいしく食べようと工夫する中で、独自のもち食文化を磨いていったのだそうです(7)。一関に行かれたら、ぜひ餅の食事を楽しんでみてください。私は2023年秋、委員になっている水産庁の視察で宮城県気仙沼へ行き、その帰りに一関に寄り、蔵ホテル一関(8)に泊まりました。宿泊者しか入れない、蔵を改築したバーも素敵でしたよ。
3、豆乳
牛乳と豆乳の栄養面での違いはなんでしょう?タンパク質は共通していますが、牛乳は、主にカルシウムやビタミンB群を摂ることができ、豆乳はビタミンEや鉄を摂ることができます。
思えば2000年、私はケロッグの広報と栄養担当をつとめておりました。その年に起きた、ある乳業会社の食中毒事件。たちまち牛乳は悪者になり、シリアル会社としては致命的。そこで、牛乳に代わるものは何かないか?と、急遽、いろんな飲み物で試してみました。何十種類試したことか・・・オレンジジュース、トマトジュース、コーヒー、あとなんだったかな・・・結局、シリアルに合うのは「ミルクっぽいもの」でした。健康的な側面も考え、最後に残ったのは「豆乳」でした。豆乳とシリアルのレシピを考案し、営業部と一緒にリーフレットを作ったのがなつかしい思い出です。
コロナ禍で、イタリアでは、植物性食品のコーナーがスーパーに登場しました。オーツ麦のミルク「オーツミルク」やアーモンドミルク、ココナッツミルク、豆乳など、牛乳に代わる飲料が多く出てきたと、日本在住のイタリア人女性に伺いました。日本のスーパーでも、植物性ミルクはずいぶん市民権を得てきましたね(9)。
4、高野豆腐
長野県では、高野豆腐のことを「凍み(しみ)豆腐」と呼んでいます。義母の実家では、長年、凍み豆腐を作ってきました。雑誌『サライ』に掲載され、全国から注文を受けたこともあったんですよ。凍った豆腐は、藁(わら)を使って編みあげます(10)。
5、あんこ
あんこといえば「粒あん」派と「こしあん」派の対決がよく言われますね(私は粒あん派)。
ドリアン助川さんの書いた小説『あん』と、それをもとにして制作された映画『あん』は、両方ともおすすめです。以前、啓林堂書店奈良店でサイン会を企画してもらったとき、前週に、ドリアン助川さんと河瀬直美監督が同じ場所でサイン会をしていて、なんだか誇らしく思ったのを覚えています(2015年くらいだったかな)。「あずきの声を聴く」というところが特に好きです。
6、大根
美食家の北大路魯山人(ろさんじん)は、よその家の養子になり、6歳という幼さで炊事を担当しました。その過程で、野菜くずなど、通常なら捨ててしまう部位もおいしいと気づいたそうです。大根だったら、皮の部分は本来捨てる部位ではなく、皮の部分にこそ、大根の特別な味がある、と述べたそうです。詳しくは、山田和さんの『知られざる魯山人』(11)に書いてあります。絶版になった本ですが、図書館などに入っているかもしれません。
7、わさび
2024年3月、長崎大学で講演した後、長崎県対馬(つしま)市へ行きました。対馬は、韓国から船で安価に来られる場所なので、韓国の観光客がとても多い島でした。そこで驚いたのが、チューブ入りのわさびが次々、売れていくこと。韓国にはないのでしょうか?細いチューブではなく、かなり太い、大きいサイズのチューブ入りわさびが、お土産もの屋さんに並んでいるのが意外でした。それだけ求められる食材なんですね。
8、山椒
全国の山椒の生産量のうち、7割を占めるのが和歌山県だそうです。山椒といえば、ピリッとした、ちょっとしびれるような味が特徴ですが、欧州などで人気が出ているそうで、「SANSHO」をブランド化しようという動きもあるのだそう(12)。
9、かんぴょう
かんぴょうといえば、巻き寿司の具の定番ですね。ユウガオの果肉を薄く細長くむいて乾燥させているそうです。栃木県で全国の生産量のうち、98%を占めるとのこと(13)。
10、こんにゃく
こんにゃくが「芋」から作られているなんて、その姿を見ただけでは想像つかないですね。ダイエットを目指す人にとっては頼もしい食材です。群馬県にはこんにゃくのテーマパーク(14)もあるんですって。
11、抹茶
抹茶は、すでにインバウンドで人気を呼んでいますね。キットカットの抹茶味など、抹茶フレーバーの菓子や飲料などが人気です。海外に行く際、「抹茶のお菓子を買ってきてほしい」と頼まれたことがありました。
12、香酸かんきつ(ゆず、橙、かぼす、すだち)
ぜひ行ってほしいと思ったのが、徳島県徳島市、JR徳島駅構内にある「YUZU CAFE Kitchen」でした(15)。残念ながら、2023年12月末をもって閉店。公式インスタグラムでは「2024年春ごろ、移転先で開店」と書いてあるものの、まだ情報が更新されていないようです。徳島県産の木頭(きとう)ゆずを使ったスイーツやソフトクリームなどを販売していました。パル通信106号でも写真入りで紹介しています(16)。パティシエの世界大会で入賞したパティシエが運営しているお店です。
YUZU CAFE Kitchenのスイーツ(筆者撮影)
13、梅干し
「梅はその日の難逃れ」
と言って、朝ごはんに必ず梅干しを食べる。映画『めがね』(荻上直子監督)のワンシーンです(17)。旅先のホテルのビュフェなどで梅干しがあると、「梅はその日の難逃れ」と心の中で唱えて食べています。夏場のおにぎりにもぴったり。真ん中に1個入れるだけより、細かく刻んだ梅干しをご飯全体に混ぜ込む方が、殺菌効果が高いようです。
「難(7)が去る(30)」の語呂合せから制定された記念日。
映画『めがね』の中で印象的だった台詞「梅はその日の難逃れ」梅干しを食べると一日無事で過ごせるよー!という昔からの諺だったんですね。
疲労回復・夏バテ予防効果など✨
一日一粒の梅干し、習慣にしたいですね🥢
14、椎茸・干し椎茸
椎茸がお買い得のとき、少し多めに買ってきて、魚を干す網の中に入れて置いておくと、自家製干し椎茸ができます。乾物文化を世界に広めているサカイ優佳子さんは、干し椎茸やキノコ類、次に出てくる昆布やわかめなど、乾物の活用方法について、レシピの写真入りで詳しく書いてくれています(18)。
EARTH FOODS 25のリストには、多くの乾物が含まれています。干し椎茸のほか、高野豆腐やかんぴょう、昆布、(干し)わかめ、海苔、寒天、など。
15、昆布
前述のサカイ優佳子さんが紹介していたのが、創業100年以上のこんぶの土居(19)。私もこんぶの土居オンラインページから昆布を購入しました。昆布は、将来的に日本近海でとれなくなるとする研究結果を北海道大学が2019年に発表しました。サカイさんは、ご自身の公式サイトで、このことについて詳しく解説しています(20)。消費者にとってできることは「いい昆布を使って料理すること」という、昆布専門会社の代表取締役の言葉が紹介されています。スープ作家としてたくさんの著書を出している有賀薫さんも、こんぶの土居が御用達(ごようたし)のようです。
土居さんは別館で素敵なイベントスペースも作られていて、次に大阪に行くときはここでだしらぼをやろうと約束しました。
16、わかめ
昆布と並んで、わかめも重要な海産物です。乾燥わかめも便利ですが、塩蔵わかめの方が、肉厚でおいしいと感じます。最近は、個人商店の魚屋さんで購入しています。小さい頃、北海道に住んでいて、わかめをたくさん食べていたら「わかめを食べているから髪の毛が黒い」と言われました。わかめの摂取量と髪の毛の黒さには相関関係があるのでしょうか...?白髪予防には、やや効果があるようですけど...
17、海苔
個人的に海苔は大好きで、ご飯と海苔があればおかずはなくても大丈夫。(ゆずこしょうくらい欲しいかな...)いつもはお茶屋さんで海苔を買っています。以前はスーパーで購入していましたが、お茶屋さんの海苔の方が断然美味しいのと、個人商店がどんどん消滅していっているので、それを守りたいと思って、お茶屋さんに週一回以上は行くようにしています(あと、魚屋さんと肉屋さんにも)。海苔は2023年に不作だったため、値上げが起こりました。海産物がとれなくなってくるというニュースを見ると、恵方巻の廃棄は本当に止めてほしいと切に思います。
18、寒天
寒天でおすすめの会社は伊那食品工業株式会社(21)。長野県伊那市に本社があり、40年以上、増収増益を続けてきた会社です。社員を大切にすること、お客様を大事にすることで知られています。かんてんぱぱガーデン(22)は、寒天を使ったさまざまな料理を提供するレストランがあり、緑が多く広大な敷地で楽しめます。2022年、講演の前、秋の紅葉の時期にいったら、それはそれは美しかったです。全国にショップがあり(23)、各地で購入できます。私は前職のオフィスの近くにあった初台店のレストランに、いろんな人を連れていっていました。エネルギーが低く、食物繊維を多く含むので、水分と一緒に摂ると満腹感が味わえます。
前職では長く日本食物繊維学会の評議委員をつとめていました。食物繊維学会が伊那食品工業で開催されたとき、会長の塚越寛さんにもお会いすることができました。『リストラなしの「年輪経営」』(光文社)というご著書が広く知られており、前職でも社員に何度も紹介していました。
伊那食品工業株式会社の会長、塚越寛さん(左)と筆者(関係者撮影)
19、ふぐ
何年かに一度、食べるか食べないか、という食材です。ここ10年だと、年末年始に母を連れていったり、恵方巻の売れ残り調査に協力してくれたインターンの大学生たちにご馳走したり、という程度でしょうか。「とらふぐ亭」というお店に行ったときに感じたことは、ふぐ料理店は、食品ロスが少ないのではないか、ということでした。ふぐは生きているものを水槽からとって調理しますし、刺身や鍋にしても、ロスになりそうな食材がないと思いました。それで、インターンの学生たちにその現場を見てほしい、料理を味わってほしいと思って連れていった次第です。EARTH MARTによれば、「世界中に生息するが、ほとんどの国で未利用魚とされていることから、ふぐ食文化の国際化が期待される」そうです。
20、すり身
すり身、というと、作家の故 向田邦子さんが好きだった、鹿児島の「つけあげ」を思い起こします。さつま揚げ、ですが、地元では「つけあげ」と呼ぶそうです(24)。向田邦子さんは、自分がおいしいと思ったもののチラシや包み紙などを「う」の引き出しに入れていました。「う」は「うまいもの」の「う」。
21、鰹節
EARTH FOODS検討委員会の一人に選ばれている、東京農業大学名誉教授の小泉武夫先生とは、筑摩書房から『いちばん大切な食べものの話』(25)という共著を出版しました。筑摩書房の編集者さんと一緒に、小泉武夫先生の研究室を訪問すると、ときどきお土産にいただくのが「小泉武夫節」。小泉先生が特別に、にんべんと一緒に開発したかつおぶしです。小泉武夫先生といえば「発酵」です。鰹節も「発酵食品」のひとつですね。
22、麹・種麹
麹も、言わずと知れた発酵食品のひとつです。麹ホテルって知っていますか?麹ひとすじ研究してきた、鹿児島県の創業130年企業、河内源一郎商店の三代目、山元正博さんが2024年の春にオープンしました。正確な名称は「麹・発酵ホテル」(26)だそうです。山元さんのメッセージはこちら↓
このホテルはすべてが麹尽くしです。仕込み水のお風呂とサウナで整っていただいたあとは、麹尽くしのお料理を、食後は茶麹歯磨きで歯茎まで健康になっていただきます。個室には天井と床に竹炭を埋め込んで電磁波障害を防ぐ中、南極越冬隊も使っている羽毛布団でゆっくりおやすみいただけます。部屋数はわずか12室。麹を愛してくださるお客様のためだけのホテルです。
私が山元さんを知ったのは、東京大学農学部の卒業生を探していたときでした。2015年6月から、東京大学農学部・大学院農学生命科学研究科の広報室の会議に毎月出ています。その一環で、広報誌『弥生』の卒業生ページの人選や取材同行、農学部公開セミナーの企画・運営などにたずさわっています。山元さんは、卒業生の中でもベテランクラス。2023年に発行した『弥生』77号(27)で登場していただきました。7ページに載っています。
今年2024年になってから、5月にテレビ番組『カンブリア宮殿』で特集されていたのでびっくり(28)。発酵食品や麹に関心の高い方、鹿児島空港からほど近い「麹・発酵ホテル」に泊まってみませんか?
23、日本酒・本みりん
そんなに「日本酒」党ではなく、普段は炭酸が含まれているお酒が好きですが、「これは美味しい!」って思ったのが、獺祭(だっさい)の純米大吟醸 磨き二割三分(29)でした。
六角精児さんのテレビ番組を観ていて知ったのが、埼玉県で作っている「花陽浴(はなあび)」(30)。埼玉県羽生市の南陽醸造株式会社が作っている「幻の日本酒」です。これを、どこで見つけたかというと、長野県飯田市で講演したあと、夜に食事をした店で見つけました!なぜ埼玉県のお酒が長野県飯田市にあったのかわかりませんが、飯田市は日本で一番、一人あたりの焼肉店が多い自治体。それと関係あるか知りませんが、居酒屋やバーのいいお店が多いなあと感じました。
近年、猛暑の影響でお米の不作が報じられています。いい日本酒づくりのためにも、お米づくりは決して絶やしてはならないことだと考えます。
花陽浴(はなあび)(長野県飯田市で筆者撮影)
24、しょうゆ・みそ
しょうゆ と みそ。どちらも発酵食品で、日本の食文化の根幹といっていいくらいの食材です。国産大豆がもっと増えることを願っていますが、現状では、海外産の大豆が多く使われています。
全国、いろんな地域差があります。東京の松屋銀座の地下食品売り場には「職人醤油」というコーナーがあり、全国90種類以上の醤油を購入できます(31)。大きさも100mlと小さめの瓶に入っているので、お試ししやすいです。
長崎県対馬市にあった「対馬醤油」、味のある店構えでした(下の写真)。
対馬醤油(筆者撮影、長崎県対馬市にて)
25、野菜の漬物
日本は漬物の種類がとても多いですね。私が好きなのは、秋田のいぶりがっこ、長芋の浅漬け、べったら漬けです。噛みごたえのあるものが好きです。
EARTH FOODS 25の「6番」で選ばれている「大根」は、切り干し大根にすることもできます。切り干し大根は煮物が一般的ですが、水でもどして甘酢やだし醤油などに漬けると、噛みごたえのあるおいしいサラダになります。
なお、EARTH MARTによれば、15から18の海藻類に関しては、国連環境計画(UNEP)ガ2009年の報告書で「ブルーカーボン」と命名しました。二酸化炭素を吸収する優秀な海洋植物だから、だそうです。英語では「シーウィード(海の雑草)」と呼ばれてきましたが、最近では「シーベジタブル(海の野菜)」と呼ばれているとのことです。
以上、選ばれた25の「EARTH FOODS 25」、いかがでしたでしょうか。あなたなりの感じ方や考え方、嗜好があると思います。ぜひこの機会に、日本が世界に発信すべき食材や食品について、考えてみてください。
2025年に開催される日本国際博覧会のシグネチャーパビリオン「EARTH MART」(32)では、今回発表した「EARTH FOODS 25」を広く世界に伝えるため、EARTH FOODSのパッケージデザインを一般公募して選定されたものを具現化して、パビリオン内に展示するそうです。
また、複数の料理人らとともに「EARTH FOODSの新料理」をつくり、そのコンセプト展示をおこなう予定とのことです。詳しくは「EARTH MART」公式サイト(32)をご覧くださいね。
小山薫堂さん(右)と筆者(関係者撮影)
参考情報
11)『知られざる魯山人』(山田和、文春文庫)
21)伊那食品工業株式会社
22)かんてんぱぱガーデン
30)花陽浴(はなあび)
31)職人醤油(松屋銀座)
今日の書籍
ポール・ホーケンさんといえば、温室効果ガスを減らすためのプロジェクト『ドローダウン』の指揮をとり、書籍『ドローダウン 地球温暖化を逆転させる100の方法』(山と渓谷社)の編著者という認識でした。一方で、この本は、50以上の国で200万部以上読まれている、スモールビジネスの「バイブル」です。園芸ガーデニング用品を専門とするカタログ・小売企業「スミス&ホーケン」を立ち上げ、大成功した起業家だったんですって。知らない側面を見ることができました。私の会社も2012年創業の小さな会社ですが、これからは、このようなスモールビジネスがたくさん誕生するとよいなと思っています。組織が大きくなればなるほど、サービスや商品の質より経済合理性が優先されるからです。
今日の映画
監督:リュ・スンワン
出演:キム・ヘス、ヨム・ジョンア、ほか
2023年の韓国で500万人以上を動員した、1970年代を舞台にした人気映画。日本では2024年7月12日から公開されました。この映画の監督は『モガディシュ 脱出までの14日間』という映画も指揮をとっており、どちらの映画もテンポよく観客を飽きさせない内容です。韓国映画は世界でのヒットを目指してきただけあって、『パラサイト』を筆頭に、どれもエンターテインメント性が優れていると感じます。
1970年代、海女が、なりゆきから身を投じた密輸ビジネス。そう、海に落とされた物品を、海女が潜って拾うことで稼ぐのです。1970年代のファッションや音楽が満載。音楽は演歌調で、昭和の日本みたい。殴り合いや殺し合いのシーンもありますが、一方で、ポップな映像によって、暗くなりすぎない魅力を醸し出しています。映画好きの人もSNSで「面白い!」と絶賛していました。
編集後記
明日7月24日からカンボジアへ渡航します。農林水産省ASEAN事業の一環で、カンボジア王立農業大学で食品ロスの講義をします。講義のあとは観光も...
本日7月23日付の東京新聞に、ウナギの資源の持続可能性を問う記事が掲載され、私のコメントも掲載されました。前日22日午後にコメント依頼をいただいたものです。
7月26日(金)には国連広報センター長の根本かおるさんが登壇するハイブリッドのセミナーがあるようですよ。会場参加の方はアイスクリームが食べられるそう。リアル・オンラインとも、先着順で申し込み受付とのことです。興味のある方は申し込んでみてくださいね。
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2024年7月23日
井出留美
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