野菜や果物など農産物の食品ロスを減らす米国MITなど7つの最新技術事例
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ニュースレター「パル通信」265号では、野菜や果物など、農産物の食品ロスを減らす米国の最新技術について見てみます。国連FAOは、世界の食品ロスが「13億トン」と発表していますが、ここには農場で発生する12億トンもの農産物のロスが含まれていないとされています。
世界の農場で12億トンの農産物の食品ロスが発生
まず現状を見てみましょう。
国連FAOは、世界の食品ロス量は13億トンと発表しています(1)。これは食料生産量の3分の1に相当します(重量ベース)。
しかしWWF(世界自然保護基金)は、FAOが発表している「13億トン」には、農場で発生している12億トンのロスが含まれていない、見過ごされていると主張しています(2)。本来は、世界で25億トンのロスが発生していると、2021年発表の報告書で述べています(3)。
家庭で最も捨てられるのは野菜
家庭で最も捨てられる傾向にある食品は野菜です。
日本では、農林水産省が平成15年(2003年)から平成27年(2015年)まで食品ロスの統計調査をおこなっていました。平成16年(2004年)の結果を見てみると、最も多いのが野菜です(4)(以下のグラフ、左端)。
民間では、ハウス食品グループが何度か調査をおこなっています。2022年5月の第5回目の調査結果を見ると、最も捨てられた食材は「野菜」が圧倒的です(5)。
家庭で発生する野菜の食品ロスを減らす方法
まずは身近なところから、家庭で発生する野菜の食品ロスを減らす方法について、いくつか削減対策を見てみましょう。
・適量買う(必要な分だけ)
たとえば一人暮らしでキャベツまるごと1個だと使いきれない場合、2分の1個や4分の1個など、使いきれる量を買うことで、ロスを防ぐことができます。
・カット野菜や冷凍野菜を活用する
キャベツの千切りを使いたい場合、カット野菜を活用するのも一案です。冷凍野菜を使えば、使う分だけ解凍して使うことができます。
・野菜保存袋を使う
日持ちしにくい青菜などは、市販の野菜保存袋を使ってみましょう。さまざまなメーカーがいろんな製品を販売しています。私は「愛菜果(あいさいか)」という商品を使っています。大きさもいろいろあって便利です。
・干す
冬場の大根、夏場のキュウリなど、多く手に入ったときには干してみましょう。キュウリの半干しは、カサが減って、塩揉みしたあと、ごま油やお酢、砂糖、醤油などとあえると一品になります。生で食べるより噛みごたえが増します。

きゅうりを干す(筆者撮影)
ほかにも漬物にする、小分けにして冷凍する、など、家庭での野菜の食品ロスを減らす方法にはいろいろあります。
それでは、次に事業系の野菜の食品ロス削減について見てみましょう。
畑で出る規格外のミニトマトをレストランに
農林水産省の、令和5年産 野菜(41品目)の収穫量と出荷量を見てみましょう(7)。収穫されながら出荷されない量は年間162万7,000トンあります。パルシステムによれば、これらには規格外などが多く、一部は自家消費されるものの、多くは廃棄されるとのこと。
そこで、規格外の野菜を、必要な需要先にマッチングさせるという取り組みがあります。
たとえば、農業支援AIの開発などを手がける株式会社Kukulcanは、株式会社タカミヤが運営する総合農業パーク「TAKAMIYA AGRIBUSINESS PARK」で出てしまう規格外野菜を、需要先とマッチングさせる仕組みを作りました(8)。通常は販売できないミニトマトなどをレストランに提供しています。
では、ここからは、米国の技術や、農産物のロスを減らすための取り組みを見ていきましょう。
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