速報:恵方巻の売れ残り調査2025 ー2019年からの7年間でどう変わったかー
ニュースレター「パル通信」にご登録いただき、ありがとうございます。パル通信228号では、2025年の節分に恵方巻の売れ残りがどうだったか、また2019年から2025年の7年間にかけて、食品リサイクルセンターに納入される食品の量はどう変わったかについてお伝えします。
恵方巻売れ残り調査の概要
2025年の節分は2月2日(日)でした。売れ残り量はどれくらいだったでしょうか。
以下の通り、調査を実施しました。
調査日時:2025年2月2日(日)夜21時から25時にかけて
調査対象:大手コンビニエンスストア(セブンイレブン、ファミリーマート、ローソン)149店舗
調査地域:1都2府7県(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、滋賀県、大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、広島県)
調査方法:恵方巻の商品棚に残っている恵方巻の本数を商品ごとに数える
2025年、大手コンビニ3社の売れ残り本数と金額は
大手コンビニ3社149店舗について、商品ごとの売れ残り本数および売れ残り金額は次のような結果でした。
セブンイレブン 売れ残り本数 1,188本 売れ残り合計金額 594,119円
ファミリーマート 売れ残り本数 348本 売れ残り合計金額 219,360円
ローソン 売れ残り本数 138本 売れ残り合計金額 104,126円
大手コンビニ3社149店舗、節分の夜に残っていた恵方巻関連商品および本数と合計金額
大手コンビニ3社、1店舗あたりの売れ残り本数・金額、完売率
大手コンビニ3社の、1店舗あたりの売れ残り本数および売れ残り金額、全店舗中で完売していた店舗の割合(完売率)は次の通りでした。
セブンイレブン 売れ残り本数 19 本/店 売れ残り金額 9,582円/店 完売率27.4%
ファミリーマート 売れ残り本数 7本/店 売れ残り金額 4,477円/店 完売率 28.6%
ローソン 売れ残り本数 3本/店 売れ残り金額 2740円/店 完売率 65.8%
2025年2月2日(日)23時台のセブンイレブンの商品棚(筆者撮影)
2019年から2025年まで日本フードエコロジーセンターの節分の搬入量はどう変わったか
2019年から2025年までの7年間に、食品リサイクルセンターである株式会社日本フードエコロジーセンター(神奈川県相模原市)に納入される食品の量はどう変化したでしょうか。
日本フードエコロジーセンターの高橋巧一社長のご厚意により、節分の日に3社から納入された量のデータをいただきました。3社の納入量を合算し、年ごとに示したのが次のグラフです。2021年と2025年のみ2月2日のデータ、ほかの年は2月3日のデータです。
日本フードエコロジーセンターに納入された3社の食品ロス量(日本フードエコロジーセンター提供)
まとめ
セブンイレブンの売れ残り本数および売れ残り合計金額が最も多く、次いでファミリーマートが多く、ローソンが最も少ない結果となりました。
この傾向は、1店舗あたりに換算しても変わりませんでした。
また、完売店舗についてはローソンが最も多く、次いでファミリーマート、最も少なかったのがセブンイレブンでした。
日本フードエコロジーセンターへの節分の日の納入量は、食品ロス削減推進法が施行される前の2019年が最も高く、以降は、右肩下がりに下がっていることがわかりました。
考察
今回の調査では24名で各店舗を廻りましたが、感触としてはセブンイレブンの売れ残りが多く、ローソンが少ないというコメントを多く聞きました。実際にデータで見ても同様の傾向でした。特にセブンイレブンは最も多かった店では69本と、日付が変わる前になっても50本〜60本売れ残っている店が複数ありました。
ローソンでは、監修を受けて作成した1,000円前後の高価格帯の商品は、売れ残り本数が2本でした。が、セブンイレブンとファミリーマートでは高価格帯のものも売れ残りが多く見られました。セブンイレブンでは高価格帯の和牛すき煮(896円)が64本、サーモン・いくらの海鮮恵方巻(1,078円)が44本、ファミリーマートでは賛否両論監修の絶品海鮮恵方巻(1,300円)が27本、柿安監修 牛めし恵方巻(1,080円)が20本残っていました。
「予約制」とうたってはいるものの、関係者に話を聞くと、前年12月ごろに本部から発注数の確認が来て、客の予約をとらないで数量を決めてしまっているので、高価格帯の商品でも売れ残りが多く出るようです。予約制には限界があるのではないでしょうか。
日本フードエコロジーセンターへの3社の納入量は、食品ロス削減推進法施行後、徐々に減る傾向にあるようです。とはいえ、すべての会社がリサイクルにまわしているわけではなく、ほとんどの企業は残った食品を焼却処分しているので、これだけがすべてではありません。それでも、法律の施行や政府による食品ロス削減の呼びかけなどは、一定の効果を示していると考えられます。
提言
農林水産省は、毎年、恵方巻の食品ロス削減に取り組む事業者を募集し、公式サイトで公表しています。2025年も、前年までと同様、募集していました。そして、農林水産省の公式サイトには、令和7年 恵方巻きの需要に見合った販売に関する取組実施事業者(1月31日現在100事業者)が公開されています。
この中に、大手コンビニ3社も含まれています。はたして、食品ロスは削減されていたのでしょうか。「予約制を導入しています」というだけでは限界があるのではないでしょうか。単価が高いおせち料理と違い、単価の低い恵方巻は予約率が低く、「半額以下なら買う」という消費者が多いというアンケート結果があります。
政府は、過剰な量の食品ロスを発生させることに対する罰則を設けるべきではないでしょうか。
また、大手コンビニで使われている特殊な会計システム「コンビニ会計」があるために、廃棄しても本部は損をせず、加盟店が売れ残り食品の損失の80%以上をかぶることになっていることも、コンビニでの廃棄が減らない要因となっています。これについても、法律や条例で制限を設けることが必要ではないかと考えます。
協力者の方々
今回の調査に立候補して協力していただいた方々、お忙しい中、夜間の調査に参加していただき、ありがとうございました。また、データを提供してくださった日本フードエコロジーセンターの高橋巧一社長、データを分析してくださった長谷拓海氏に感謝申し上げます。
(五十音順、敬称略)
青山範子
石橋俊伸
石橋三智子
岩田和音
上村あかり
太田俊祐
太田将史
奥山智天
北川満喜子
金城さくら
河野豊
坂巻達也
相模侑未
佐藤修司
鴫原世紀子
島田宏ヱ
島凛花
高橋まどか
遠山玲子
長谷拓海
S.M.
宗高美恵子
福田かずみ
柳田琴江
以上24名
今回の記事は「速報」のため、いつものコーナー「今日の書籍」「今日の映画」「編集後記」はお休みします。恵方巻についてはYahoo!ニュースでも記事を書いています。
2025年2月4日(火)
井出留美
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