食品企業の不祥事後の姿勢を消費者はどう評価すればよいか? パル通信(11)

食品企業が不祥事や自主回収などのネガティブな件に対処したとき、わたしたち消費者はどう評価すればよいのか?についてお伝えします。
井出留美 2021.10.20
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今年の9月から10月にかけて、「食品衛生法を守っていない」という理由で、複数の食品企業が自主回収に追い込まれました。

自主回収などの際の企業の姿勢は、広報によく表れるものです。食品企業が「自主回収」や「不祥事」といったネガティブな出来事にあたった際、我々消費者は、その後の企業姿勢や対応を、どのように評価し、信頼していけばよいのでしょうか。

どんな企業も遭遇する可能性のある危機。その危機管理や消費者が見るべきポイントについて、広報経験24年(企業広報14年5ヶ月、NPO広報3年、大学広報7年)の筆者が、事例を交えてポイントをお伝えしたいと思います。

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今回は、

  • サクラ印のハチミツ自主回収に学ぶ、信頼を欠く企業態度

  • 中国産茎わさび自主回収時の「潔くない」メッセージ

  • 自主回収後の企業姿勢で、消費者が見るべきポイント

  • 優れた自主回収事例

といった順序でご説明します。

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サクラ印のハチミツ自主回収に学ぶ、信頼を欠く企業態度

まず一社目は、2021年10月7日発売の週刊新潮10月14日号でスクープされた、サクラ印のハチミツを製造している、加藤美蜂園本舗です。

2021年2月2日、この会社の本社で行われた会議の様子を、週刊新潮は録音データを基に報じました。


「私は、回収は、はっきり言ってしたくないというのが現状です」「食品衛生法からいったらアウトです」「グリホサート混入(中略)外部の人が知っていますか?検査なんか使い回しにしているけど、誰か知ってます?」

「グリホサート」は除草剤の主成分です。拙著『食料危機 パンデミック、バッタ、食品ロス』(PHP新書)でも取り上げています。これが使われていることによって、世界的なミツバチの減少が起こり、ひいては食料生産にも影響しているため、フランスやドイツなどの欧州では、禁止にする国が相次いでいます。一方、日本ではグリホサートを使った除草剤はホームセンターなどで市販されており、公園などで使われています。


また、国際がん研究機関は、発がん性が高いとして、危険度「グループ2A」(5段階評価で2番目に高い)に分類しています。

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週刊新潮は、加藤美峰園本舗の製品を入手し、検査しました。その結果、5本のうち3本が食品衛生法で定められたグリホサートの残留基準値0.01ppmを超えていた(0.02〜0.03ppm)のです。

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