食品企業の不祥事後の姿勢を消費者はどう評価すればよいか? パル通信(11)
今年の9月から10月にかけて、「食品衛生法を守っていない」という理由で、複数の食品企業が自主回収に追い込まれました。
自主回収などの際の企業の姿勢は、広報によく表れるものです。食品企業が「自主回収」や「不祥事」といったネガティブな出来事にあたった際、我々消費者は、その後の企業姿勢や対応を、どのように評価し、信頼していけばよいのでしょうか。
どんな企業も遭遇する可能性のある危機。その危機管理や消費者が見るべきポイントについて、広報経験24年(企業広報14年5ヶ月、NPO広報3年、大学広報7年)の筆者が、事例を交えてポイントをお伝えしたいと思います。
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今回は、
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サクラ印のハチミツ自主回収に学ぶ、信頼を欠く企業態度
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中国産茎わさび自主回収時の「潔くない」メッセージ
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自主回収後の企業姿勢で、消費者が見るべきポイント
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優れた自主回収事例
といった順序でご説明します。
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サクラ印のハチミツ自主回収に学ぶ、信頼を欠く企業態度
まず一社目は、2021年10月7日発売の週刊新潮10月14日号でスクープされた、サクラ印のハチミツを製造している、加藤美蜂園本舗です。
2021年2月2日、この会社の本社で行われた会議の様子を、週刊新潮は録音データを基に報じました。
「私は、回収は、はっきり言ってしたくないというのが現状です」「食品衛生法からいったらアウトです」「グリホサート混入(中略)外部の人が知っていますか?検査なんか使い回しにしているけど、誰か知ってます?」
「グリホサート」は除草剤の主成分です。拙著『食料危機 パンデミック、バッタ、食品ロス』(PHP新書)でも取り上げています。これが使われていることによって、世界的なミツバチの減少が起こり、ひいては食料生産にも影響しているため、フランスやドイツなどの欧州では、禁止にする国が相次いでいます。一方、日本ではグリホサートを使った除草剤はホームセンターなどで市販されており、公園などで使われています。
また、国際がん研究機関は、発がん性が高いとして、危険度「グループ2A」(5段階評価で2番目に高い)に分類しています。
週刊新潮は、加藤美峰園本舗の製品を入手し、検査しました。その結果、5本のうち3本が食品衛生法で定められたグリホサートの残留基準値0.01ppmを超えていた(0.02〜0.03ppm)のです。
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