食料危機に関する最新のグローバルレポート2024 なぜ深刻な食料不安に陥っているのか パル通信(177)
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ニュースレター「パル通信」177号では、食料危機に関する最新のグローバルレポート2024について、その概要を解説します。
お知らせ:6月28日(金)夕方、第9回パル通信サポートメンバー限定オフライン(対面)交流会を企画しています。また、6月30日(日)午前9:30-10:30には第10回パル通信サポートメンバー限定オンライン(zoom)交流会を予定しています。変更がある場合は再度連絡いたします。
「食料危機グローバルレポート」とは?
2024年4月23日、食料危機に関する最新のグローバルレポートが発表されました(1)(2)。食料危機に関するこの報告書は、FAO(国連食糧農業機関)やWFP(国連世界食料計画)、UNICEF(ユニセフ)など、16の組織が毎年作成しています。これら16の組織は「食料危機対策世界ネットワーク(GNAFC)」と呼ばれて、食料危機のレポート作成で協力しあっています。食料危機や、急性の食料不安の要因(紛争、経済的なショック、気候変動など)などに関して、データおよび分析を提供しています。この報告書を、人道支援や開発などの行動に役立てることが目的です。
世界何ヵ国の何人が食料不安に陥っているのか?
世界でいくつの国の、何人が深刻な食料不安に陥っているのでしょうか。今回発表されたレポートによれば、2023年時点、分析対象人口の5分の1(21.5%)に相当する2億8.160万人が、59の国と地域で、深刻な急性食料不安に直面しました。
レポートでは、複数の国で高い水準の急性食料不安に直面していることに触れています(3)。
2024 Global Report on Food Crisis
なぜここまで深刻な食料不安に陥っているのか、その主な理由
食料危機や食料不安は、以下の複数の要因によって起こります(4)。
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貧困(食料を入手するためのお金がない)
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自然災害や気候変動(食料が収穫できない)
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戦争・紛争
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経済の停滞や低迷
今回のレポートで強調されていたのが「武力紛争」でした。武力紛争が、今回の食料不安の主な要因であり、ガザ地区の食料危機は過去8年間で最悪だと指摘されています(3)。急性飢餓と栄養失調に苦しんでいる人の数は深刻な水準です。経済的なショックや異常気象、武力紛争などの要因が、もともとあった極度の貧困や乏しい政府の能力、食料輸入への高い依存などの要因と相まって、何百万人もの人が急性の食料不安と栄養失調にさいなまれています。
食料危機といえば「貧困」が大きな要因ではありますが、今回のレポートは主な要因が「武力紛争」と書かれていたのが衝撃でした。貧困が要因であれば、食料支援や金銭のサポートをすれば解決につながりますが、紛争が要因となれば、それを止めなければ食料不安はなくなりません。でも、戦争や紛争が簡単に止められないことは、ウクライナ侵攻やガザの件で十分わかっています。