五輪弁当廃棄はなぜ全容が明らかにされないのか パル通信(2)

2021年7月24日、TBS「報道特集」がスクープした、東京2020大会の弁当廃棄。当初4,000食処分と言っていましたが、8月7日の番組では20会場1ヶ月分で130,000食が廃棄されたことを内部告発によって突き止め、8月27日組織委員会はそれを認めました。五輪会場は42会場ありますから、これでも全てではありません。なぜ全容が明らかにされないのでしょうか。
井出留美
2021.09.09
誰でも

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今日の翻訳記事

こんにちは。「パル通信」は、いくつかのコラムから構成します。その一つが翻訳記事です。海外からの記事で、日本では報道されていない、知られていないものからピックアップし、翻訳して、その概要をお伝えします。

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今日の記事は、2021年7月にWWF(世界自然保護基金)と、英国の大手小売TESCO(テスコ)が発表した"Driven to Waste: The Global Impact of Food Loss and Waste on Farms"です。https://wwfint.awsassets.panda.org/downloads/driven_to_waste_summary.pdf

これまで「世界の食品ロス」といえば、FAO(国連食糧農業機関)が2011年と2013年に発表した「13億トン」を使うのが主流でした。世界の食料生産量のうち、重量ベースで3分の1、カロリーベースで4分の1が捨てられています。

ところが、今回のWWFとTESCOの発表では、13億トンではなく、世界の食品ロスは25億トン以上発生しており、UNEP(国連環境計画)とFAOが最近発表したデータをあわせると、世界の食料生産量の3分の1どころか、40%が捨てられているというのです。
その大きな要因となっているのが「農場からの食品ロス」です。12億トンもの食料が農場から出荷されておらず、廃棄されていることがわかりました。

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日本でも、毎年4月に農林水産省と環境省が日本の最新の食品ロスの推計値を発表しており、現時点では「年間600万トン」としています。が、ここにも、農場で発生する食品ロスは含まれていません。また、全国の行政や事業者で備蓄していて入れ替え時に処分される備蓄食品のロスもカウントされていません。

このWWFとTESCOのレポートは、日本では、ほとんどといっていいほど報道されていません。日本最大のビジネスデータベースサービスで検索しましたが、150紙誌では一件も出てきませんでした。
このレポートを知らない人や、「パル通信」を読んでいない方は、今も変わらず「世界の食品ロスは13億トン、生産量の3分の1」という数字を当たり前のように使うと思いますが、そんなときには「いやいや違いますよ、今まで言われている食品ロスの2倍近く多い可能性のある最新データが発表されたんですよ」と言ってください。


農場など、一次産業の生産現場から出る食品ロスについても、具体的な対策を考えるべきではないでしょうか。消費者としてできることは、生産者から直接購入する、サブスクリプションの形で定期購入する、道の駅や野菜直売所などで購入する、などがあります。

さらに詳しく内容をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。

news.yahoo.co.jp
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今日の書籍

『アルバ うつくしいうみをまもった100さいのさかな』教育画劇、ララ・ホーソーン作・絵、新沢としひこ訳
『アルバ うつくしいうみをまもった100さいのさかな』教育画劇、ララ・ホーソーン作・絵、新沢としひこ訳


教育画劇が2021年4月に出版した翻訳絵本、『アルバ うつくしいうみをまもった100さいのさかな』(ララ・ホーソーン作・絵、新沢としひこ訳)。


とにかく、表紙も中身も、絵が美しい。いったい、これを仕上げるまでに、どれほどの時間と労力をかけて描かれたのか。ただただ圧倒され、頭が下がるばかりです。


海の大切さ、海のごみについて伝える本です。最後のページにも、とても本質的な教えが書かれています。


お近くの図書館で借りていただいたり、リクエストしていただいたり、あるいは購入してご覧ください。2,500円+税です。私は思い切って購入しました。飾っておくだけでも満足感のある絵本です。

www.kyouikugageki.co.jp

今日の映画

最新の映画は、マスメディアが報じていますので、ここではネット上で観られるものや、小さな映画館で上映されるものなどを優先してお知らせしていきます。


今日の映画は、あさって9月11日から全国上映される、『ミッドナイト・トラベラー』。私は『もったいないキッチン』という食品ロスの映画に出演しましたが、そのプロデューサーを務めた、ユナイテッドピープルの関根健次さんが配給しています。ポスターだけでも、この作品がいかに他のものと違っているか、いま観るべき映画だということが伝わります。スマホだけで撮ったんですよ。

(c)2019 OLD CHILLY PICTURES LLC.
(c)2019 OLD CHILLY PICTURES LLC.
(c)2019 OLD CHILLY PICTURES LLC.
(c)2019 OLD CHILLY PICTURES LLC.

関根さんによれば、ネット販売中の前売り券が売り切れだそうです。いかに期待が高まっているかが伝わってきます。関根さんによれば、再度、前売り券の在庫を増やして販売を再開したそうです。劇場では、公開日初日9月11日と次の日に特典もあります。私はオンライン試写会で視聴しました。ぜひ観て欲しい映画です。いかに自分がなまぬるい環境にいるかを実感し、惰性の日常に喝が入ります。

五輪の情報は、ある筋から入手したので、ここから先は購読者限定にさせていただきます。協力隊時代の「パル通信」と、編集後記も購読者限定です。

五輪弁当廃棄はなぜ全容が明らかにされないのか

当初4,000食と言っていた弁当の処分は、内部告発者によって、20会場1ヶ月13万食が廃棄されていたことが報じられました。その後、8月27日、組織委員会は、記者会見で、13万食処分を認めました。でも、五輪の会場は全部で42会場あります。20会場はその半分です。ではなぜ全てが一気に明らかにされないのか。

それは、20会場分だけは、一つの企業(スポンサーに関わる企業に関連する)が製造していたからです。残りの22会場については、バラバラなので、全容をつかむのがとても難しい。

しかも、報道があってから、緘口令(かんこうれい)が敷かれているのか、なかなか掴むのが難しい状況です。


農林水産省に聞いたところ、この全容レポートは年度末に報告されるとか。(年度末って来年の3月ですよね・・・半年以上先です)

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弁当以外にも、選手村のビュフェでの食品ロスも明らかになっていません。9月6日にTBS「ラヴィット!」に出演した際、マルヤス大森町店へ行きましたが、そこでは、ある1カ国のメディア向けケータリング食品の余り・・・ドレッシングやケチャップ、タバスコ、クラッカー、ジャムなどが大量に売られていました。これでも1カ国の分だけだそうです。


かつて私が広報を務めていたセカンドハーベスト・ジャパンは、9月5日、オーストラリアのオリンピックチームから8,500食の寄付をいただいたことを発表しました。オリパラ参加国は206カ国が予定されていました。いったい、背後にはどれだけの食品ロスが隠れているのでしょう。

ただ一方で、「弁当があまりにまずかった」という声もあります。私は開会式関係者を知る人と、TBS「報道特集」からその声を聞きました。
他にも、9月7日付の週刊誌では、一食の塩分含有量が6.0gだったということも書かれています。一日の摂取基準近くにもなる多い塩分量です。

news.yahoo.co.jp

この件では、テレビの取材も受けており、9月中に放映されるかどうか・・というところです。購読者の皆様には予定が決まったらお知らせしますね。

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今日のパル通信

JICA海外協力隊時代、手書きで書いて、世界各国に送っていた、パル通信。前回は、ホームステイ先から出ようと思ったら、部屋を建築してしまった・・という内容でした。


今日は、こちらです。長渕剛の「乾杯」が、フィリピンではタガログ語のラブソングとして流行していました。これを、赴任先の大学で歌った・・・という内容です。

パル通信 10月1日号の一部
パル通信 10月1日号の一部

編集後記

昨日9月8日、ある業界団体で講演をした際、かつての勤務先である日本ケロッグが共同開催してくれました。そして参加者はなんと130名!ケロッグ社員のうち、参加できる人の70%が参加してくれたそうです。

私が会社を辞めたのは2011年9月20日。ちょうど10年前でした。10年経って、元の勤め先の社員と交流できるなんて、思ってもいませんでした。講演が終わってからも、「もし◯◯の地域で何かあれば連絡ください!家族で参加します」「以前と変わらず、前向きで、アグレッシブで、聞いていて元気になります」とメッセージをいただきました。

メッセージを送ってくれた彼らは営業で、私のいた本社とは違うところにいたので、毎日交流していたわけではありませんでした。でも、そこでコミュニケーションに役立ったひとつが「広報室ニュースレター」だったのではないか・・・と思います。11年間で1305号配信したニュースレター。今はもう手元にはないけれど、読み手に向けて配信したことが、社員の心の中に残っているのならうれしいです。

それではまた次回のパル通信をお楽しみに!
2021年9月9日井出留美