誕生日記念号【内部資料入手】食品小売業「3分の1ルールの販売期限切れ後の返品はない」は本当か?パル通信(99)

今回は、独自調査により入手した内部資料より、食品業界でメーカーが被る不当な取引の実態についてお伝えします。
井出留美 2023.03.11
サポートメンバー限定

パル通信も、次号で100号を迎えることになりました。ここまで読んでくださった読者の皆様に感謝申し上げます。さまざまな節目となる2023年3月を迎えました。2011年の誕生日(3.11)に発生した東日本大震災から12年を迎えました。震災を契機に独立し、立ち上げた会社、株式会社office 3.11は、2023年3月から第12期を迎えました。今日はこのあと、日本学術会議のフォーラム「食料システムから地球温暖化の抑制を考える」で登壇します(リアルとオンラインのハイブリッド開催)。「どなたでも参加できる」と書いてあります(オンラインなら今からでも申し込み可能なのかも?定かではありませんが)。

3月11日という節目の日を迎えるにあたり、もし自分が明日死ぬとしたら、何を伝えればいいかということを考えました。これまで「食品ロス」が認知されていなかったので、食品ロス問題を知ってもらうことに向けて活動してきて、おかげさまで法律も施行され、かなり浸透してきました。次はどこへ向かえばいいのか、自分が発信し続ける意味はあるのだろうか、と考えたのです。

拙著『賞味期限のウソ 食品ロスはなぜ生まれるのか』(幻冬舎新書)のあとがきに、

伝える側にいる人間は、自分や自社の利益にとらわれず、今の社会に本当に必要だと肚(はら)の底から思うことを発信する。それが、結局は自分・会社(組織)・社会のすべてを生かすのだと確信しました

と書きました。

食品を捨てることは、食べ物を殺すこと。食品ロスを、毎日、経常的に生み出すような働き方は、決してよい働き方ではない。世界の食料生産量の3分の1も捨てている。捨てるのなら最初から作らなければ、働く人はずっとラクだったはず。働き手がラクになる働き方は、食品ロスも減らす働き方だと考えています。46歳で他界した父のことが、無意識のうちに心の中にあるのかもしれません。もっとラクな働き方をしていれば、もうすこしだけ長生きできたのに、と。

2023年3月11日。東日本大震災から12年経ちます。今朝も北海道で地震がありました。

今の自分が、社会に必要なことを発信できているかわかりませんが、社会をよりよい方向へ変えることが、私の目的だと考えています。だからこそ、声をあげられない人が、情報をくださるのだと思います。

今号では、食品業界に根強く残る不当な取引の実態について、内部資料を入手しましたので、そのことについてお伝えします。

この記事を書く理由

食品ロスを日常的に生み出す商慣習や、食品業界の不当な取引をなくすため。

つらい働き方をしている人を一人でもなくすため。

この記事でわかること

実際に現在存在する食品業界における不当な取引の実態

この記事はサポートメンバー限定です

続きは、7627文字あります。

下記からメールアドレスを入力し、サポートメンバー登録することで読むことができます

登録する

すでに登録された方はこちら

読者の方にはこんな内容を直接お届けしてます。

・食品ロスの正しい知識がつく
・サステナビリティ情報も配信中
・過去の記事も読み放題
・毎週届き、いつでも配信停止可能
・読みやすいデザイン

提携媒体・コラボ実績

誰でも
2024年10月に最も読まれた記事 オレゴン州「悪いリンゴ」キャンペー...
サポートメンバー限定
ポートランドで発酵力活用 100年以上の歴史を誇る企業の堆肥化施設を訪...
サポートメンバー限定
予約のとれないレストラン、シェ・パニース訪問記 昼のキッチンの裏側から...
サポートメンバー限定
売れ残りの食品を安く買えるアプリToo Good To Goを試してみ...
サポートメンバー限定
世帯平均で年間23万円以上の食品ロスを出すオレゴン州が始めた「悪いリン...
誰でも
2024年9月に最も読まれた記事 発酵の力で年間1億円削減した自治体と...
サポートメンバー限定
小売が食品ロス0.5%減らせば利益17%増 日英米の期限表示に関する最...
サポートメンバー限定
なぜ180度主張変える?「穀物必ず買える」の後「コメ不足、備蓄米出すべ...